インキュベーションレポート
SHOP99・株式会社九九プラスのインキュベーション
1998年春、東京下町亀戸に、サンストリートというモールが誕生した。どこにでも、必ず知り合いのいる吉井が、いつものように、招待を受け、施設で出会う人々に挨拶しながら回っていると、日の当たるベンチに、体格のいい眼の大きな男性と眼があった。「あっ!あんた!」「あれ?杉本さんじゃないですか、いや~お久し振り・・」握手、握手、近況報告。その施設のキーテナントとして出店していたベストの杉本社長との再会でした。以来、事業計画を具現化してゆく組織設計から、幹部採用、新卒採用を含めたトータルなお手伝いがスタートしました。 杉本社長が、「膨張でなく、成長したい」という言葉をよく口にされていた頃、店舗の空き区画に、「99円ショップ」が誕生しました。
杉本社長に、「なぜ99円なのですか?」と含蓄のある答えを期待して質問したのですが、「1円でも安い方がいいだろ、99なんてゴロもいいし」と言われ、なんて無邪気な方なのだろうという思いがしたものです。そんな杉本社長の目標に上場がありました。
私たちはまず始めに、その推進役のキーパーソンとして、GMSの役員経験の方に、「もう一踏ん張り、流通ベンチャーでチャレンジして頂けませんか!」とお誘いしました。その方は、杉本社長の夢に、心意気を感じ、引き受ける条件として、年収やタイトルでなく「年に一日だけは、マラソンに出るのでどうしても欲しい休みがあります、それ以外、条件はありません!」と力強くおっしゃってお引き受けいただきました。
あれから、6年がすぎ、昨年、9月9日99プラスは、見事に上場しました。最も株価の未来価値が高いと日経新聞に評価され急成長続けていますが、その背景にこのWさんのご活躍がありました。もちろん、上場するにあたっては、多くの方々の御尽力があったと思います。なかでも、長崎屋の再建を引き受けられたキョーデンの橋本さんの男気(この方のお話はまた、ゆっくりとしたいと思います。救世主というのは、この方の根にある魂のような気がしてます)と、天才肌のターンアラウンド経営力が拍車をかけ、エネルギーを与えた事は、言うまでもありません。そして、そこにたどりつくまでの現社長や、Wさんを初めとする経営陣、この会社の生みの親として、事業に投資し続けたベストのオーナー杉本さんの存在なくしては、この業態は確立できなかったはずです。上場するまでの数年間、弊社は、もくもくと事業を推進してくれる多くの人材の参加を中心にお手伝いをしてまいりました。
99プラスという会社は、私たちにとって、思い出深い、遠い親戚のような感覚の会社です。最近では、出店が加速し至る所で看板を目にするようになってきました。私も、時々、家の近くにできた99SHOPでお買い物を致しますが、小分けで売って頂ける事の便利さは、本当に助かります。そういえば、以前、杉本さんが、「皆、少しで充分だ、一人暮らしがどんどん増えて、余って捨てたらもったいない!小分けは面倒だけど、うちは、八百屋だからできる!」と、自慢されていたのを思い出します。
99円で100円より安い!から価値があるのではなく、「自分の売っている野菜や、お肉を、無駄にせずに食べて欲しかった」思いが、始まりではないかと思います。創業者の杉本社長が、思い描かれたお店が500店を過ぎようとしています。
担当コンサルタント:マザー北條 夏旭