イントレプレナー塾
ベンチャービルダーとイノベーションプロデューサーとは
ベンチャービルダー(VB)とは、スタートアップや新規事業を生み出すための革新的なプラットフォームであり、スタートアップスタジオとも呼ばれます。
本コラムでは、日本におけるVBの紹介と、中小企業庁*による「イノベーション・プロデューサー」の公募がどのようにVBの概念と連携しているかを掘り下げていきます。
*経済産業省 中小企業庁
ベンチャービルダー(VB)とは
スタートアップや新規事業を生み出す方法論として、
ベンチャービルダー(VB:別名スタートアップスタジオ)という仕組みが提唱されています。
古くは90年代のアメリカのアイデアラボに遡りますが、2017年に出版されたアッティラ・シゲティの『STARTUP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団』がきっかけで日本でも知られるようになりました。
著書では、
・「スタートアップスタジオ(ベンチャー・ビルダー)」とは、
起業や新規事業創出のリスクを下げる新しいプラットフォームである。
・ベンチャーキャピタル、アクセラレーター、インキュベーターなどと異なるのは、
スタジオ自身が多種多様なスキルを持つプロフェッショナルを抱え、
彼らがアントレプレナーやエンジニア、大企業の新規事業担当者らと一緒に
革新的な新事業を「連続して」「同時多発的に」開発・育成・輩出している点だ。
と記されています。
中小企業のイノベーション創出を支援する イノベーション・プロデューサーの公募
なぜ今、この話を執筆しているのか?というと、昨年度から中小企業庁が行っている事業の公募案件を最近調べていて、”非常に似ているな”という感想を持ったからです。
中小企業庁では令和5年度・令和6年度と、2年連続で中小企業のイノベーション創出を支援する「イノベーション・プロデューサー」の活動支援事業を公募しています。
企業が稼ぐ力を強化し、成長につなげるには”イノベーションによる新事業創出”が有力な手段
であることは周知の事実だと思いますが、中小企業庁はそのイノベーション創出には
・自社の強みを認識
・既存事業の関係先以外のニーズを探索
・上記2点を往復しながら新サービスを構想、具体化
・差別化戦略を構築する
といった流れが必要であり、その機能を中小企業に代わって提供する支援策が必要であると捉え、
「イノベーション・プロデューサー」(モデルとなる人及びチームいずれか)を公募しています。
「人と企業のインキュベーション」
「人と企業のインキュベーション」に長年取り組んできたインターウォーズと、
「人・企業・地域」と長年繋がってきたJTBが共同事業としてリリースした「イントレパス」は、
まさしく「イノベーション・プロデューサー」の役割を満たした事業であると担当責任者の立場からは感じています。
・経営陣向け新規事業開発の組織風土醸成セミナー
・企業内起業家資質サーベイ
・イントレプレナー塾
・出島インキュベーション
全社にイノベーションの風土を啓発するセミナーを行い、
起業家資質を持った人財を調査し、イントレプレナー塾で自社の有形無形の資源を認識し、
異業種交流による自社の事業アイデアを創発させ、出島により差別化戦略を構築。
市場調査と顧客ヒアリングを繰り返し、事業計画を実践的ビジネスモデル化させる。
その伴走サポートをする「イントレパス」が
日本のイノベーション・プロデューサーの一丁目一番地と呼ばれるよう、
全国の地方自治体、中堅・中核企業へ推進していきたいです。
まとめ:イノベーション ≠ 事業アイデア
最も大切なことは、「新しいことを生み出すための人と組織がいるかどうか」です。
エクセレントなアイデアから、実践的な事業計画が組みあがったときに、
それを活かせる土壌が企業本体にあるかどうか。
本業とは全く違う事業規模・利益構造・社会的意義…
それらをすべて飲み込んで「やってみなはれ」と経営陣は言えるでしょうか。
全社がその新事業案を応援し、前向きに推進していく雰囲気を作り、
継続していけるでしょうか。
ある一定の撤退基準を設けることは前提ですが、
新規事業とはもともと「多産多死」であることは避けられない問題です。
インターウォーズと、JTBが行う「イノベーション・プロデューサー」は
どんな状況でも明るく、前向きに、
企業内起業家・企業経営陣・革新的な事業案を推進するための機能でありたいと思っています。