イントレプレナー塾
「スタートアップ創出」よりも『企業内起業』
2022年を「スタートアップ創出元年」と宣言した日本政府ですが、その後も地方を含めたスタートアップ創出は難航しています。インターウォーズは、企業内起業を推進する新しいビジネスプログラム「イントレパス」をJTBと共に開始しました。この記事では、日本のスタートアップ環境の現状と課題、そしてインターウォーズがどう対応しているのかを詳しく解説します。
目次
「スタートアップ創出が難しい」という声
3月28日(木)のプレスリリースで、インターウォーズとJTBとの新規事業創出プログラム「イントレパス」を発表しました。それから、これまでの民間企業だけではなく、地方自治体に関連する方々との接点が増えてきました。
その中で、私たちも驚いたのですが、どの自治体においても「スタートアップ創出事業」は政策の柱となっており、この2年間で多くの取り組みが為されています。
ここで課題となっているのが、東京のような大規模経済圏を除いて、地方に行けばその地場で挑戦するスタートアップ企業(起業家:アントレプレナー)が現れないことです。多くの予算や、優遇策を取っても毎年そう多くは出てこず、その募集に苦慮しています。
この課題に対する一つの解決策は、「跡継ぎ経営者」や「跡継ぎベンチャー」の育成です。これは、既存のビジネスを引き継ぐ事業継承者が、新たな視点やアイデアを持ち込むことで地域内での新事業創出を生み出すアプローチです。
2022年1月 岸田首相「スタートアップ創出元年」を宣言
日本政府は、2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、スタートアップエコシステムの構築と活性化に向けた取り組みを推進しています。この動き自体は低迷する日本経済への一手として素晴らしい動きではありますが、上記のように手詰まり感があることも事実として聞こえてきます。
難しさを挙げてみますと、大きく下記の4つとなります。
1.文化的な要因 日本は従来から安定を重んじる文化であり、リスクを冒して新しいことに挑戦するよりも、安定した企業で働くことを好む傾向にあります。また、失敗に対する社会的な偏見も強く、起業家精神を抑制する要因となっています。
2.資金調達の課題 日本のベンチャーキャピタル市場は年間9000億円、対してアメリカは年間40兆円を超える額がスタートアップに投資され、大国に比べて小規模です。資金調達が難しく、かつ少額にも関わらずIPOを迫られ、資金繰りもままならず、死の谷を越えられないという悪循環に陥っています。
3.規制と法律の壁 新しい技術やビジネスモデルが規制の壁に阻まれることが多く、スタートアップが事業を展開しやすい環境とは言い難い。
4.人材の流動性の低さ 優秀な人材が新しいスタートアップに流れにくいという問題もあります。日本では、一度就職した企業に長く留まることが美徳とされがちであるため、リスクを取ってスタートアップに参加する動きが少なく、事業展開段階で実力が伴わないケースも散見されます。
このような困難さがある中で、地方自治体が「起業家よ、出でよ」と呼びかけても手が挙がらない状態がこれからも続いていくでしょう。
なぜインターウォーズは『企業内起業』が必要だと考えるのか
冒頭で紹介しましたJTBとの新事業創出プログラム「イントレパス」も、インターウォーズが2009年から十数年の歴史を誇る「イントレプレナー塾」も、企業内起業をテーマとしたサービスです。
※イントレプレナー:企業内起業家 または 社内起業家 のこと
これはインターウォーズが創業以来一貫して伝えている、
日本における新規事業立ち上げのカタチは
企業の経営資源を活かした企業内起業が「最も有力な方法論」である
という考え方に基づいています。
世界でも有数のエクセレントカンパニーであるTOYOTA(トヨタ自動車)は、豊田自動織機から生まれた企業内起業です。ユニクロ、ファナック、セブンイレブン、無印良品もすべては既存事業の有形・無形の資源を活用しながら新事業に挑戦できる「企業内起業」の恩恵を受けながら生まれています。
”スタートアップ創出の難しさ”に対する『企業内起業』推進という提案
厚生労働省「法人企業統計調査」の結果(2022年度分・2023年9月1日発表)によれば、2022年の「利益剰余金(内部留保)」の額は554兆7,777億円と、過去最高額に上っています。
「2022年スタートアップ創出元年」日本国内に新しい事業を生み出し、挑戦と失敗を寛容する土壌風土が生まれることは歓迎すべきところです。
そのうえでさらなる仕掛けとして、全国の大企業・中堅企業・中小企業への「企業内起業推進・イントレプレナー養成」を政策に取り入れ、日本経済の活性、地方創生を図ることを提案します。
JTBとの新規事業創出プログラム「イントレパス」がそのイシューを全国に届けられるよう、多くの自治体・企業から共感を呼べるよう推進していきたいと思っています。