イントレプレナー塾
財務がわかる!事業を成功に導く損益分岐点とキャッシュフロー入門
新規事業を立ち上げる際、財務の基本概念を理解することは極めて重要です。
特に、事業計画書や社内プレゼンへ「数字」を用いた表現は、必要不可欠な要素です。
しかし、多くの起業家は財務について十分な知識や経験を持っていないことがあります。
そこで、このコラムでは、新規事業の財務に関する基本的なポイントを紹介します。
損益分岐点とキャッシュフローについて演習問題も用意しているので、是非参考にしてみてください。
どうしても苦手意識を持ってしまうと取り組みにくい財務関係ですが、簡単な四則演算から導入し、
財務の基礎知識を学んでいきましょう。
損益分岐点の基本
事業を始めるにあたり、最も基本的な財務の概念のひとつが損益分岐点です。
損益分岐点とは、経営において売上高と費用が等しくなり、損益がゼロになる売上状況のことを指します。
損益分岐点がわかれば、事業が利益を上げるために必要な最小限の売上高が明確になります。
また、収益力評価、目標利益設定と達成のための改善策検討などに活用することができます。
損益分岐点の算出には、固定費と変動費が必要です。
固定費は、売上高に関係なく発生する費用で、例えば賃貸料や人件費などが該当します。
一方、変動費は売上高に比例して増減する費用で、材料費や仕入れ費用などが含まれます。
- 計算方法
1.ある時点の損益計算書を用意する
2.費用を固定費と変動費に分ける
*判別しにくい場合もどちらかに仮置き
3.売上高と変動費から変動比率を計算する
変動費÷売上高=変動比率
4.1から変動比率を差し引き固定費額を割る
固定費額÷(1-変動比率)=損益分岐点売上高
- 補足
- 変動比率は、売上と一緒になくなるお金の割合。
- 1-変動比率は売上のうち手元に残るお金の割合で「限界利益」とも言う。
- 固定費額を限界利益でまかなえれば損失は出ない。
キャッシュフロー
損益分岐点と共に定量発想をする上で重要になるのがキャッシュフローです。
キャッシュフローは、文字通りお金の流れのことです。
事業の実際の現金の流れを表す指標で、利益とは異なり、キャッシュフローは実際に手元に残る現金の量を意味します。
キャッシュフローを把握することで、利益と現金等のズレを把握し事業経営に活かすことができます。
損益計算書上では、取引した時点で収入を記載し、費用となる減価償却費を加算します。
対して、キャッシュフロー計算書は現金の入出金を記録するため、現金化された時点を収入とみなし、実際の現金の動きが発生しない減価償却費は加算されません。
- 損益計算書とキャッシュフロー計算書表記の違い
- 1年目に機械(600万円)を購入し、4年間で均等に償却した場合(毎年の収入を400万円とする)
演習問題
具体的な演習問題を通じて、財務の理解を深めましょう。
演習問題解答
まとめ:実現可能なビジネスプランへの一歩
新規事業の財務に関する基本的なポイントである、損益分岐点とキャッシュフローを紹介しました。
まずはこの二つのポイントを習得し、数字や財務に壁を感じないよう、事業計画立案の各ポイントで活用していきましょう。
数字や財務の理解度は、事業の「成長」や「競争力」に影響します。
数字を味方につけることで、根拠のある財務諸表の作成やプランの改善ができるようになり、定量的で隙のないビジネスプランへ導くことができるはずです。
新規事業を財務の面から補強し成功するプランへと近づけましょう。