第318回
創業経営者の戦略的意思決定
日本の大手企業経営者は、否定的な評価をされることが多い。 大手企業の社長の多くは、サラリーマン社長である。1995年から2022年にかけて日本の上場企業の売上はわずか10%しか増えていないが、経常利益は11倍に増加している。
売上を伸ばすために利益を拡大することの難しさを理解している海外の投資家は、日本のサラリーマン経営者を評価している。 その実、1990年以降、多くのトップ企業では設備投資や新規事業投資が10%以上減少している。
この環境下において、持続的に売上・利益とともに成長している企業は、創業経営者が率いて上げていることが多く業績も株価も好調である。
危機感を誰よりも強く持ち、不確実な未来に向けて、今何をすべきかを考え、自らの全存在を懸けて決断を下す。これこそが戦略的意思決定の本質がある。

「戦略的である」とは、与えられた問題を解決するためのアプローチではなく、自ら問題を創造し、立ち向かうことに本質がある。
削減によって利益を伸ばすサラリーマン社長の経営手法から、これからは創業者による戦略的な挑戦が求められている。これこそが、常識を超えて業界の構造を変革する原動力となる。
