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コラム

第310回

B.LEAGUE(Bリーグ)の躍進

インターウォーズのインキュベーション事業の代表的な成功例として、bjリーグ(現Bリーグ)をご紹介いたします。

Bリーグはシーズン売上580億円を達成しました。近年、Bリーグ所属クラブが大手企業によるM&Aの対象となるケースが増えています。今シーズンのファイナル戦では、広島ドラゴンフライズと琉球ゴールデンキングスが王者を競い、1万2千人の観客が熱気と歓声に包まれました。

広島ドラゴンフライズは初優勝を果たしましたが、両チームとも大手企業が参画しているクラブです。クラブが自立して収益を上げられる環境が整備された結果、Bリーグはスポーツがビジネスとして成り立つ環境を構築しつつあります。

琉球ゴールデンキングスの試合は常に5000人以上の観客を動員しており、全体の売上は横浜マリノスを超えています。また、イオン琉球では琉球ゴールデンキングスとコラボしたTシャツやワインが販売され、いずれも人気を博しています。

今後、入場者数は2028年までに700万人、事業規模は800億円を目指しています。世界のスポーツ市場は半導体やスマートフォンに匹敵する規模であり、130兆円に迫ると言われていますが、Bリーグの躍進はさらに加速していくと予想されます。

2005年3月に「日本プロバスケットボールリーグ」が設立されました。

その前年、新潟と埼玉の地域クラブがプロ化を目指しjbl(日本協会傘下の日本リーグ機構)を脱退、新たなプロリーグ設立に向けた準備が進められました。これにより、日本初の地元密着型経営モデルがスタートしました。その後、11シーズンにわたり計4,505試合が行われ、総勢802万人が来場しました。全国展開された日本初のプロバスケットボールリーグは、2016年5月15日に有明コロシアムで開催されたbjリーグファイナル戦で1万人を超えるファンが集い、「琉球ゴールデンキングス」が優勝したことで幕を閉じました。

リーグ設立の背景

この時代、日本には500万人のバスケットボール愛好者がおり、世界には4億5千万人のバスケットボールプレイヤーが存在していました。アメリカのNBAを頂点に50ヶ国でプロリーグが運営されていたにもかかわらず、日本にはプロリーグがなく、1976年のモントリオールオリンピック以来、日本はオリンピックへの出場を果たしていませんでした。企業チームの撤退によりチーム数が減少し、競技レベルも低下。トップリーグに進む選手は年間10人を切る状況で、国際試合からも除外されるなど、バスケットボール界はどん底の時代を迎えていました。

当時のバスケットボール界は実業団による協会で運営されていましたが、1993年のJリーグ開幕をきっかけにバスケットボールのプロ化も叫ばれていたものの、協会組織内では進展が見られませんでした。

このような背景の中、新潟のクラブオーナーのビジョンに賛同し、当社はbjリーグの設立に向けて、起業家のスカウト、投資、アドバイザー就任、経営幹部人材の紹介、資金やスポンサーの確保、地域チームの設立など、多岐にわたり関わりました。

翌年の11月5日には、東京、仙台、大阪の会場で、新潟、埼玉、仙台、東京、大阪、大分の6チームによる「bjリーグ」が華々しく開幕しました。有明の会場では、DJの音楽とテンポの良いMC、華やかなチアリーダーが登場し、観客と一体化したアメリカのNBAを彷彿とさせる熱戦が繰り広げられました。

その過程では、経営危機や東日本大震災によるチームの休止など、様々な困難がありましたが、多くのブースターや支援者に支えられ、全国に24の地域チームが誕生し、シーズン中には107万人が観戦するエンターテイメントバスケットボールリーグへと成長しました。

bjリーグは9月にNBLと統合し、新たにBリーグとしてスタートを切ることになりました。多くの困難に直面しながらも、日本初のスポーツ・エンターテイメント事業の機会を切り開いた勇者たちの精神が受け継がれ、さらに国際舞台で選手たちが活躍し、Bリーグが稼げるスポーツ産業として力強く成長していくことを祈念しています。

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