第221回
「行く川の流れは絶えずして」
『行く川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまることはない。』
鎌倉時代に書かれた物なのに、現代に通じる事柄ばかりの日本古典三大随筆の一つ、方丈記の冒頭である。このご時世で気持ちが疲れている方にお勧めする至高のエッセイだ。
ところで、昨年2023年は、未曽有の危機と言われた感染症がついに日常の風邪となったが、今度は世界のあちこちで無慈悲な殺戮が平然と行われ、今なお多くの殺人兵器が開発され量産され続けている。
平和なはずの日本でも驚異的な災害が頻繁に訪れる上に、愚かで無残な犯罪も後を絶たない。私などは、日々流れてくる情報に、ヨハネの黙示録がちらつき、ひたすら怯えつつも目の前の雑事に精一杯の小さな人間ではあるが、方丈記もしかり、人類の歴史をつづった書物や動画のおかげで、運命というものを受け入れてもいる。
そして、人生は無常であり、世に理不尽はつきものだが、自分を信じていなければ、我欲に取りつかれた悪魔のような権力者たちに利用されまくる。悪魔は物欲を煽り人の目をくらませるし、飴と鞭で曲がった思想を植え込んでは人の心を蝕む事を知っている。
だから若者に言いたい。餌食にならないでほしい、むしろその悪魔を善人に変えるくらいの魂と知識を持って自分の人生を貫いて貰いたい。
昨年は、インターウォーズ創業期に出会った若者たちが、その輝きを残したまま、家庭を築き仲間も増やし社会に貢献している話を聞く機会が増えた事で、時の流れを感じながらも希望を持って努力してきた人間はやり遂げると実感した嬉しい年だった。
人は思ったようにしか生きられないのだ。因みに私も思ったように我儘に生きてきたので今のところ悔いは無い。厚顔無恥と思われようが一つの生き方だと自負している。 それにしても世の中は無常である。
いやでも時は過ぎるし、常に何かが起きる、もしかしたら世界戦争が起きるかもしれない、さらに恐ろしい疫病が流行るかもしれない。気候変動による大きな天災被害も避けられない。
それでも今を生きるしかない人間は、せめて希望を持っていたいではないか。こんな不穏な時代だからこそ人間主義的経営を掲げる企業も注目されている。あわよくば近未来、人間の為の資本主義がスタンダードになる日が来るかもしれない。来ないかもしれないが。
いずれにしろ、人間は究極になれば能力を発揮すると人類の歴史が教えてくれている。きっと誰かが救いの術を見つけてくれるのだ。
そんなこんなで2024年は更に進化したAI.AGI.ASIの話で夢が広がりそうであるし、思いがけないビジネスを創造する起業家の方々とお会いできるかもしれない。
という事で、今年もわくわくしながら日々を過ごしたく思っている。なにしろ、時の流れは止まってくれないのだから不満たらたらでつまらないと思う事をしている時間は勿体ないのである。