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コラム

第301回

「新規事業開発の失敗要因」

「新規事業開発」で苦戦する企業には共有要因がある。それは企業文化や組織構造が影響し、既存事業と新規事業開発の違いに適用できない企業が多いことが挙げられる。

多くの大手企業は新規事業開発が未経験の経営陣で構成されていることから、既存事業のエキスパートが支配的で、既存事業のアプローチと論理が優先され、新規事業であっても短期的な視点で評価される傾向がある。

一方、新規事業開発の過程で困難を乗り越えた経験を持つ経営陣や創業者が率いる企業では中長期目線でのリーダーシップとコミットメントによって企業内での起業文化や革新的な人事制度が築かれている。

また、不確実性の高い新規事業への「投資判断軸」が不明確だとリスク回避の考え方が優勢になる。

社員から提案された新規事業案に対して、ベンチャーキャピタル(VC)のような投資判断や人材支援が欠如していると、最高のアイデアでも逸脱する可能性がある。

さらに、上場企業のサラリーマン経営者は株主に対する合理的な説明責任を負い続け、短期的な利益と成果が要求されるため、株価を意識した経営をせざるを得ない。

加えて、大きな問題を起こすことなく任期を終えようとするインセンティブが働き、リスクを伴う新規事業への大胆な投資に踏み切ることが難しい。新規事業の仕組みを作っても、企業文化や革新的な組織土壌がないことが、新規事業やイントレプレナー(企業内起業家)が育たない要因なのだ。

新規事業開発を成功に導くためには、適任の新規事業開発リーダーを見つけ出し、「誰に任せるか」が極めて重要な意思決定となる。新規事業を実現するイントレプレナーがいなければ、何も生まれない。

企業の大半 の社員は既存事業の成長期や成熟期でのキャリアのため、新規事業開発の経験者が圧倒的に不足している。そこで、エースプレーヤーならばうまくいくだろうと、候補者として選択する企業が多い。

エースプレーヤーの所属部門の責任者が異動を拒むことも多いが、苦労して配属しても失敗するケースが多いのは本人が腹から納得していないからだ。エースプレーヤーはオペレーション能力が高く、「業績を上げて出世を目指す」人が多い。

新規事業開発はリスクが高く、既存事業のオペレーションとは違った能力が求められ失敗する可能性があるため「出世キャリアから外れる」と考えるからだ。

私は、イントレプレナーの選定には、「圧倒的当事者意識を持ち、成功するまでしつこくやり続けるリーダーシップのある人」を抜てきすることが最重要であると捉えている。

加えて、新規事業に必要な技術や市場に精通した人材を採用し、起業チームを組成することが、新規事業開発を成功させる道筋となる。

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