第33回
「経営者の財産」
経営者になっている人、なりたい人は、いったいいくらの自己資産を持ちたいと思っているのでしょうか。
私たちも、自分一人だったとしたら、どれだけのお金があれば事足りるのでしょうか。「人間起きて半畳、寝て一畳、天下とっても2合半」という言葉があるそうです。
どんなに偉くなっても、人一人の分量はしれているという事です。
そういえば、バフェットさんのような大金持ちの好物がチェリーコークだそうです。インターウォーズに遊びにみえる、牛丼が大好きな資産家の社長もいらっしゃるし、以前ご紹介したヨドバシの社長は、大根おろしが大好物でした。毎日、世界の珍味を、食べつくせるお金があっても、嗜好は資産に関係なく、人一人の消費量は、大差はないのです。
先日、「カメラのキタムラ」の北村会長とゆっくりお話しする機会がありました。北村会長は、四国で実家のカメラ屋さんを継がれてから、瞬く間に、日本全国にカメラのキタムラの名を轟かせた方です。現在、DPE、カメラ販売では日本一の売上げと店舗数を誇っています。販売員さんの丁寧さも日本一かもしれません。
吉井は、インターウォーズ創業時に、北村会長から贈って頂いたという素敵な言葉が添えられた写真集を、今でも大事にしています。そのお言葉を聞いたとき、独立したての心細い起業家に対しての思いやりをひしひしと感じて、男の優しさ、誠を持っている人に是非一度お会いしたいものだと思っていました。
思いは叶って、3年になりますが、北村会長とお会いするたびに本物の男の気骨を見せて頂いている気がします。お話される言葉一つ一つに感動するのは、胸が熱くなるほど人間を大切にされる方なのがよくわかるからです。
個人的なお金の話になった時「人間は、魚を一度に3匹は食えんし酒も一升(1升?!)も飲めば十分、人一人の必要な分は知れている。一億円もあれば十分なんだ」と諭され「天下取っても2合半」とも教えて頂きました。
なるほどなぁ、経営者であろうが、社員であろうが、一人に必要な分は変らないのだと感心していると、北村会長の傍らで、会長(のお酒)を優しく気遣いながら、談笑している武川社長がいらっしゃったので、改めてキタムラの知っているだけのメンバーを思い浮かべました。皆さん快活で真摯な方ばかりでした。こういう本部だから、お店の印象も優しいのだと思うのです。
考えてみれば、キタムラの財産は、キタムラで働く方々ではないでしょうか。会長は、一人のできる事は限られている、皆で力を合わせて大きくなるということを初めから解っていらして、私欲に捕われずに経営の陣頭指揮をとられてきた。だから、仲間意識の高い、志のある方々が揃っていらっしゃるのです。
人が必要な最低条件は、経営者も社員も変わりません、それぞれが、それぞれの役割を果たすことが、それを自分の「分」で果たすことが、人として仕事をする使命のような気がします。(余談ですが、「分」とは「その時の自分ができる事」、つまり「分」は変化も進化もすると私たちは捉えています。)
個人的に必要な物質等、たかがしれています。しかし、経営は一人ではできません。あらゆる部分に、心の通ったメンバーが必要なのです。
このことに改めて気がつかせていただいた、キタムラの会長、社長に感謝の気持を、これからのご発展に向けて答えていきたいと思います。