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コラム

第34回

「切っ掛け」

インターウォーズの名前には、「機会の窓」という意味がはいっています。事業機会という意味です。そして、その時の出逢いであったり、変化であったり、何かが変わる時の、始まりの機会です。

私がインターウォーズで仕事を始めることになった切っ掛けは「夢を形に」という言葉が、綺A4のコピー用紙でしたがキチンと編集され、ゲストルームの壁に貼り付けてあった事です。

会社の壁に貼り付ける事は、他人への意思表示と同時に、自分への戒めだと思っている私には、随分自信がある社長さんだなと思い、そこまで自信がある人と仕事をしたら本当に夢を形にすることが出来るのではという期待が膨らみました。

たった、一枚の紙に語られた言葉が、人の心に届き、人生を変える切っ掛けになりました。人生というものは、突然振って沸いたような切っ掛けに見舞われるものです。

たった一言、たった一瞬の行動で気持が繋がる事も、離れる事もあるのです。しかし、その時、どのように判断して、どう行動するかが、その人の力量、本分(「いまここ」の自分の器)ではないでしょうか。

社長業は、並大抵の努力で続けられるものではありません。ましてや倒産する、あるいは会社を清算するという惨めな苦悩は、経験しなければ解かるものではありません。

過日、その人生の大きな挫折を乗り越えて、見事にリベンジを果たし、市場に請われて上場し、成長している、格好いい(よすぎる)アスカネットの福田社長にお会いしました。

シャープで洗練された感性を持ちながら、ビジネスモデルの根底にあるものは、多くの人の喜びであったり、感激であったりする。奢りの無い、スマートな社長さんです。

「私は、若いときに、作れば売れるという人気ブランドのアパレル業をしていたので、かなり天狗になっていたんですよ、世の中は案外甘いなぁなんて言っていたら、あっという間になにもかも水の泡でしたね」と感慨深げに話されました。

20代で成功し、大きな挫折を味わった後、故郷の広島で地道に写真館のお仕事を始められたそうです。天性のビジネスセンスがある方ですから、写真館は、めきめきと業績があがり生活も安定し、仲間と釣りをしたり、遊んだりして日々を送っていた44歳のある日。

テレビに映った土光敏夫氏が、東芝の再建に入られた時の古い映像を観る機会が、ありました(当時、土光氏は69歳)。

土光氏が何者かも知らずに見ていると「社員は3倍働け、役員は10倍働け、俺はそれ以上に働く」という言葉を聞かれたそうです。

「体が固まりましたよ。この人70歳くらいだよな?えー。なんだって、俺はそれ以上に働く?ちょっと待ってくれ、なんなんだ、この人、誰か知らないけど凄いこと言うなあと思ったら、俺は、何してるのかなぁと考えてしまって、まだ44歳で、なに、のんびりしてるのかってね!」

いえいえ、のんびりはしてらっしゃったとは思えません。なにしろ、この方、車の運転はレーサー並みというかプロ。服飾デザイナーでもあり、ミュージシャンでもあり、なんにでも没頭される方ですから、のんびりはしてらっしゃらなかったと思います。

本当に、羨ましい方なのです。おまけに、PC関係も子供の頃から興味があり、エンジニア顔負けです。

それでいて、仕事を順調に伸ばしているということは、本当ののんびりは、私には無理と思えるのです。なにか、不得手な事はないのかと問いましたら、「なにもないからプロになってないんですよ」と謙虚におっしゃるのです。

天は一人の方にいくつもの才能をもたらす事は、いい加減わかってきましたが、ちょっとくらい分けて欲しいと思います。

ともかく、そういう集中力のある方ですから、土光さんの一言が切っ掛けになって「再挑戦するか!!」という気持になられてからは、めきめきと頭角を表され、その結果、(お会いしていた日)株価がストップ高になる程、将来を期待されている会社を創られました。

人生『切っ掛け』大事ですね。

私も、福田社長との出逢いを「切っ掛け」にして、何歳になっても夢を諦めずにいたいと思います。

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