第35回
「組織の語源は有機体」
「私は、組織人ですから」という言葉を聞くと、うーんちょっとクールなのかしら。と思われませんか?
でも、本来組織というのは有機体、今、巷で大人気のオーガニックが語源だとご存知でしたでしょうか。常に進化変化して、新しい細胞が出来ないと腐敗してしまう有機体です。
『僕は組織人ですから』は、まさに、組織=有機体そのものの進化変化に対応する可能性を秘めたタイプです。と言っているはずです。にも、関わらず、決められた事を遂行する変化に対応できない事に対して組織人というイメージがあるのは、何故か不思議です。
気になるかもしれませんので、(余談ですが)無機質(鉱物)は、ミネラルだそうです。
今回の登場人物は、ここに登場させた事がわかると叱られそうなのですが、覚悟を決めて「伊藤忠食品株式会社 濱口泰三社長」をご紹介させていただきます。
濱口さんは、総合商社の合併により、伊藤忠商事の社員となられた事を機に、生来の気転と行動力で、新規事業の立役者として辣腕をふるわれ、3年前に伊藤忠食品の代表取締役社長にご就任されました。
濱口社長は、とても、格好いい、お茶目な切れ者です。しゃれが効いた旗本退屈男(ご存知かしら)みたいな方なのです。
シャープな方なので、始めは緊張するのですが、会話が愉快で面白いので、嵌められて、つい本音を引きずり出されてしまいます。
過日、何故濱口社長が新規事業開発の達人になったかの理由を語って頂きました。といっても、おおかた冗談交じりなのですが。
「僕はね、ファミリーマートに出向にいっていたから、帰ってきたときには、何か新しい仕事をしなければならなかったのよ。でも、なにか考えても、どこかの部署の誰かが、必ず近い事をやっているので、無いものを考えていかざるを得ないよね。そうしたら、あいつは新しい事が好きだからとなって、新規事業を考える係りになっただけなんだよ。」という具合です。
まずは、大きな目的に対して、それを具体的な形に落とし込む為に必要な事が何であるかを、当たり前のように、瞬時に感じる方のように思います。
私が知っているだけでも、濱口社長の伊藤忠時代のアイディアが具現化して、一千億を超える事業会社を始め、大きな結果を出している新規事業が多々あるのです。
その時、その時の状況に、進化変化に対応した社会の求めるテーマを、形にして会社を変える要の人こそ、本物の組織人といえるのではないでしょうか。