column

コラム

第36回

「辛抱と継続」

人間、「辛抱だ!」とか「継続は力なり」とか、結構重たい言葉ですよね。

私は、辛抱とか継続というと頭に浮かぶのが、ローリングストーンズと言うイギリスのロックバンド。なにしろ、彼らは、体力的にもかなりきついロックミュージシャンの世界でなんと43年という長い間、あのハードなステージをこなしています。

やれ解散だ、再結成だと他のグループが、ジタバタしている中、彼らは、淡々と結成当時の(不可抗力な場合を除けば)メンバーでグループを継続してきました。

なにかと、人騒がせな方々ですが、自分達の音楽を大切に守り続けてきた結果、彼らには、老若男女の(高齢者から小学生に至るまで)ファンがいます。もちろん私も古株のファンです。なにしろ昔から変らない方々なので、嫌いになる理由がみつからないからです。

自分たち独自の世界を持ち、世間に溺れず、へつらわず、生意気で無作法に見えます。いつも、やんちゃで、我儘で、不良のイメージを崩そうとしません。

しかし、彼らの年齢からみれば、驚異的なステージをこなす背景にどれだけの努力が潜んでいるかは、はかりしれないのです。ましてや、同じ仲間と同じ仕事を続けるということは、かなり辛抱強い人達でもあると思うのです。

もっと、他にいい相手がいるかもしれない。こいつが俺の邪魔している、この人さえいなければもっと組織は伸びるのにとか、長く一緒にいると、不満も疑心も募ってくるものではないでしょうか。会社の崩壊の大半は内部分裂であることも、周知の事実です。

そんな辛抱と継続を素敵に感じさせて下さる方がいます。株式会社吉野家DCの安部修仁社長です。

吉野家さんの方々とは、仕事のおつきあいというより、たまたま、私も音楽好きだということで意気投合し、それ以来イベントの度に、お邪魔したり、お気に入りのプライベートな空間で遭遇する事も多いので、気持はお仲間です。

そんな折々、安部氏と共に歩まれた幹部の方々との会話を聞くにつけ、安部社長の物凄い吸引力とその吸引力を更に強化している幹部の方々との強い結束力を感じます。

そこには、音楽という共通の言葉を持っているという強みもあるように思います。

安部社長は、その昔の倒産劇の時も、自身の好むソウルフルな曲のごとく、熱く強い魂で仲間を引っ張って乗り越えられました。

2度目のBSEでの再開中止の時も、「あったま、(頭)きた!」と意表をつく発言で、自分の素の気持を社員に伝えました。そして、社員の方々も、自分達の気持を代弁してくれた社長に応えて、業績を支えてくれたと思います。

安部社長の歌声は、実に切なく、強く、枯れた渋い声です。その声を最大に生かしてくれる苦楽を共にした仲間のギターに乗って聞こえてくる歌には熱い心があります。
辛抱は辛いし、継続は大変な努力が要るけど、格好いい結果があれば、良しですよね。

コラムを毎月メルマガでご購読