第41回
「いらないもの」
人間は食べる事が出来ないと日々の生活が出来ません。
食べ物はとても、大切です。そして、飲める水がないと生きられません。ガスも電気も無いと、とても不便です。(過日、ガス湯沸しが故障してしまい、その有り難さを痛感したばかりです。)いわんや、その基になる燃料はとても大切です。
ところが、その大切なものを、どれだけ本気で大切に出来ているのでしょうか。
人間は、ともすると、あって当たり前と感じるものは(物だけでなく人も)、いくらでも手に入るとばかりに、粗末にしすぎる傾向があるようです。そして、最近では燃料費が上がったという事に始まり、あらゆる商品の価格が高騰し始めました。
ところが今の日本は、食料品の殆どを輸入して、その39%を廃棄しているのです。物を捨てておいて、しかも、お金をかけて廃棄しておいて、価格の高騰を嘆く事に大きな矛盾を感じます。その前に「捨てないように努力しようよ」と思うのです。売り切れる事に文句を言わなければ、メーカーも過剰に作らずに済みます。スーパーもコンビニも、無駄に多い陳列がいりません。ポリ袋も容器も持ち寄ればゴミが減るのです。
物を大事に使えば、リサイクルできて、どこかで誰かの役に立ちます。46億年も生きている地球のたかが数百年どうなってもいいと思う方の意見も一理ありますが、問題は今です。今生きている人の気持を、少しでも気持ちよくする事が大切なのではないでしょうか。
当たり前の事をすることを、徳を積むというのだそうです。人間は徳を積むべき生物だと思います。前世の事を覚えている人間がいないということは、今の人生は一度きりなのです。一度きりの人生を、徳を積んで生きられる人こそ、人としての成功者といえるのではないでしょうか。
昨年の7月、物静かなアントルプレナーの2人組との出会いがありました。ビブリーという本の物々交換サイトの創業者です。
「自分達で、世の中に役に立つ事を創造してみたかったのです」と真摯に語る、無欲の大欲という武器を持つ、彼らの術中にすっかりはまってしまい、今では彼らの宣伝マンとしてインターウォーズメンバー全員が活動しています。
インターウォーズは、物を大切にする社風です。備品も年季が入っています。使えるものは大切に使うという精神があるからです。なので、ビブリーの本を大切にしたい、資源を大切にしたいという気持は大変嬉しく、つい、応援したくなったのです。
また、精神論だけでなく、彼らのサイトが充実する事で、新しい市場に価値が生まれ、資源を大切にする習慣も根付いていくという期待もあります。
私も、このサイトを活用していますが、本好きな人は、本の扱いも丁寧で気持ちが良く、読みたい本が、読み終えた本と交換できるので、大助かりです。
そもそも、身の回りの物を大切に出来る人は、人間を大切にできる人だと思うのです。人が人を大切に思えば悲惨な出来事は減っていくはずです。小さな事からでもいいのです。大切にするという習慣をつけて欲しいと思っています。
人にとって「いらないもの」は、「大切に出来ない心」ではないかと思うこの頃です。ちなみに、大切とは、心を配って丁寧に扱うさまという意味です。