第61回
「塞翁(さいおう)が馬」
塞翁が馬」とは、中国に伝わる古い諺で、塞翁さんのところの馬にまつわる禍福を例えて、人生は、吉凶・禍福の予測はできない、何か事が起きたときに一喜一憂せず、常に冷静に考えて精進する事が大事だという教えです。
概略ですが、塞翁さんの馬は逃げてしまったと思いきや、なんと良馬を引き連れて戻ってきた、得したものだと羨ましがられたが、その馬に乗った息子が大怪我をしてしまい同情される。ところが、怪我が原因で戦争に行かずにすみ、長生きして幸せに暮らしたというお話しです。
大事なところは、その間の禍福に対して、塞翁さんが動じる事は無かったという事です。
もう何度も、こんな話ばかりしていますが、人生は、もう戻らない「今」の時間を重ねています。そして、私たちは、1秒先ですら、何が起こるかわからないのが現実です。
毎年夏になると、戦争という名の殺戮の悲惨さを再確認しますが、近年9月というと、ニューヨークのあの信じがたい光景を思い出します。そして、昨年のあの巨大組織のリーマンが破綻するという衝撃も。天災だけでなく、作為的な人災によっても、多くの人が一同に不幸に見舞われる事を実感する月となりました。
もちろん、人の不幸は、不慮による事故もあります。大病や難病も突然やってきます。ちっぽけな人間に取って、あらゆる災いは抗いようがありません。ただし、どんな時にも「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出して欲しいと思います、人は考え方で、今、目の前の景色が変わります。
泣いても笑っても、悔いても怒っても、全て自分の貴重な時間なのですから、できるだけ穏やかに、少しでも楽しく前向きに過ごして欲しいものです。だからこそ、事が起きたときには「塞翁が馬」なのです。
この、言葉の意味を身近に感じる事ができたのは、株式会社ぱどの倉橋社長のおかげです。
倉橋社長は、社内で異端児とされていたのですが、逆に個性を見出され企業内起業家となり、上場までされました。発行部数でも最多を誇る日本型フリーペーパーの祖です。
しかも、その上場に際して、もっとも大事な商談の前に交通事故にあわれ、頭に大怪我をされました、それでも、めげずに包帯を巻いた状態で出かけた事で熱意が通じ、難しいとされた話を早くまとめる事ができたというエピソードもお持ちです。
ただ、いくら「塞翁が馬」といっても、現実は、好転的でかつ冷静な考えをもとに地道な努力をしなければ変化も進化もありません。近々では、デルコンピューターの広告塔として選抜され、『ぱど』と、倉橋社長がかなりのメディアで露出されるという話を聞きました。
このご時勢、色々なところで広告費も節約を強いられているはずですが、こういう幸運に恵まれるのも、天性の才の現われと思わざるを得ません。
最近は、ネットや携帯で情報をとるのが常識の時代になりました。フリーペーパーという情報産業も厳しい局面を迎えている事は事実です。しかし、ものは考えようです。ぱどは、そのIT技術と、「ぱど」の誇る営業力を生かした新たな事業モデルを開発されました。
「ぱど」の発行するポイント【ぱどぽ】という新サービスです。地元密着型で加盟するお店のポイントを貯めて好きなサービスに変更できるという優れものです。
簡単にアクセスできることもあり、とても使いやすそうです。それに、隣近所何処でも使えるのは消費者目線に則っています。今は神奈川地区限定ですが、全国的なサービスに繋がっていく予定ですので、私の生活空間にも、より早く浸透して頂きたいと思っています。
「人間万事塞翁が馬」ですが、捉え方一つで、事業も「塞翁が馬」ではないでしょうか。