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コラム

第62回

「子供の教育」 

子供の教育で、一番心がけて欲しいのは、子供の持っている可能性を潰さない事。将来その才能によって素敵な生活をしてくれたら、育てた方も育てられた方も互いに幸せである。そんな事を、幼児活動研究会の山下社長とお会いしてから思っている。

幼児活動研究会は、教育に対する強烈な理念を持った会社である。以前から興味を持っていたので、先月、メンバーの企業訪問に同行した際、玄関に入るなり社員の皆さんから『いらっしゃいませ!』という明るい声の出迎えに会った。

社内用のスリッパに履き替えるので(これが後で驚く)、綺麗好きな会社なのだと思いながら会議室へ。お部屋に慣れた頃に、いかにも教育者という風貌の社長と、聡明で快活な部長がにこやかに入ってこられ、事業の成り立ちから、未来の展望までお話し頂いた。

創業36年、ひたすら幼児の教育に携わってこられた事実が、深い愛情と信念の賜物である事がよく理解できた。幼稚園へ体育の講師を派遣する業務から、次第に要望が増え、今では幼稚園経営のコンサルタントもされている。近年では、コンサルタントだけでなく、自社で幼稚園経営も始め、その幼稚園のDVDを拝見し、正直、驚愕した。

可愛らしい園児達の運動会の様子が流れてきたので、微笑みながら癒されながら拝見しているうちに、だんだんと脅威を感じてきた。気がつくと、10数名の子供達が、どの子も同じように、自然体で高レベルの体操を楽しそうにしている。

「うん?」と思っていると、なんと全ての動作が音楽に合わせて振り付けされ見事なダンスになっていた。その後、一人ひとりが将来の展望を語る場面を拝見し、幼稚園である事を忘れる。

そして、卒園式。園児達は、自分で書いた作文を読み上げ、両親への感謝を表現し、自分で書いたお絵かきを超えた絵を進呈する。

歌は、童謡唱歌を高く澄んだ声で歌い、見事なハーモニーを奏でて、あれ?幼稚園児だったのよね?小学校の卒業式じゃないよね?と、見終わった瞬間。「天才教育ですか?」とつい声を出してしまった。

社長は優しく、「まさか、私達は当たり前の事をしているのです。皆子供はこのくらいの事は出来ます。駄目な子など一人もいないのです」とおっしゃった。

本当に驚いた。「ここの子供達の遊びはね、勉強なんですよ。」とも…。そうはいっても、子供の可能性を潰さないように、自然体で創り上げたノウハウがあるのだと勝手に納得しながらの帰り際、お掃除の仕方を見せて頂いた。

蛍光灯の上部から、トイレの床に至るまで、ぴかぴかで美しい。「これを毎日行なっていますので、弊社に合わない方はこれでお辞めになっていかれますね」と冗談交じりで、しかし、本質を捉えた言葉を頂いた。

更に、玄関でスリッパから靴に履き替える際、来た時よりも気のせいか靴が綺麗なので「?」と思っていると、社員の方が率先してお客様の靴も綺麗にしてくださっていると聞き、なにもかも徹底されている社風に、圧倒された。そして、こういう日常の全てに幼児活動研究会の原点があるということも確信した。

教育に興味のある多くの方に幼児活動を知って頂きたいとのご要望に応えて、宣伝マンとなって、いろいろな方にお話しているので、この言葉が頭から離れなくなっている。

『子供は、皆、無限の可能性を持っている。駄目な子なんかいない。』

何度聞いても、言っても感動する。

本当は、皆、同じように思っているはずなのだが、経済的な理由や、様々な環境、物理的な事情で、理想的な事は出来ないと諦めてもいる。だが、どのような状況でも、子供の可能性を潰さないように、大人は努力するべきだと思う。小さな心遣いからでも、可能性を伸ばそうと思っている心を伝える事はできるはずだ。

そして、子供の教育だけに関わらず、人に何かを伝授する側は、常に誠心誠意で人に尽くし、物を大切にして、気持ちよく日々の生活を行なっている姿勢を見せなければならない。

そこから、教育は始まっているのだという事も、幼児活動研究会の訪問で教えて頂いた。

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