第64回
「株式会社とは」
年明けからお堅いテーマかもしれないが、こんな時代だからこそ、改めて株式会社の経営とは何かを思い起こしてみた。
そもそも、株式会社とは、目的を持った仕事を、「仲間」とするために、「株券を発行して」お金を集め「株券に対して利益を渡し価値を高める」仕組みをいう。
その、株主と仲間に選ばれた代表取締役の仕事は、少ない情報からでも、論理的に物事を考えて意思決定し、目標を決め方向性を指示し、社業の発展と社員の幸せに貢献する事である。
そして、その経営手腕は、どこで判断されるかというと、
・ROE(return on equity)=株主資本利益率
株主の資本を使ってどれだけ、税引き後利益を上げたか。
・ROI(return on investment)=投資収益率
投資した資本を使ってどれだけ、税引き後利益を上げたか。
・ROA(return on assets)=総資産利益率
総資産を盛り込んだ投下資本に対してどれだけ、税引き後利益をあげたか。
・EVA(economic value added)
投資家が期待する配当などをどれだけ創造しているか。
つまり、経済的な付加価値をどれだけ創造しているかが経営力のモノサシになる。実に素っ気無い言い方だが、それが株式会社という組織を組むという事だ。
ところが、会社は機械で動くものでも数字で動くものでもなく、その収益をもたらす源になるのは全て人的資源による。結果、経営者に求められるのは、その人的資源を効率よく活用できる手腕ということになる。この人的資源活用が一番、本当に難しい。
経営者の悩みを聞くと、殆どがここにある。全てと言っても過言ではない。
社業の不振や不始末は、自分の責任であると理解している経営者も、生身の人間であるために、社員との相性によって解決する力が違う。また、自分を慕ってくれる可愛い部下でも、望む能力が無いと判断すれば、厳しい対応もせざるを得ない。
なにしろ経営者は、株主に対して利益を還元するのが仕事であり、その利益は半永久的に続くように仕組み化しなければならない。
ところが、なんの努力もせずに、いや、したとしても、相性も仕事の能力も期待以上のメンバーに恵まれる経営者は、よほどの幸運、いや強運、奇跡に近いといえる程希少である。なので、経営者の悩み、課題は『人』に関わる事になる。
また、経営者が、会社の目標を決め方向性を指示し、人材を適材適所に配置し、経済的付加価値を創造する目標を達成する為には、あらゆる判断の基準となる『真実の情報』が必要だ。優れた経営者は、真実の情報を、誰よりも早く自分の物に出来る人である。
そういう経営者の仕事を理解し、その企業の課題、経営陣との相性、会社の風土に合う、貴重な人材のリクルーティングをしていくのが、我々のインキュベーションの特徴でもある人材紹介という仕事だ。その人物如何で会社が劇的に変動するので、まさしく真剣勝負、生半可な気持ちではいられない。
正月から身内の自慢話で申し訳ないが、インターウォーズには、こういう緊張感と責任のある仕事を愛し、どんな時も、どんな人にも真剣に仕事をしているメンバーばかりである。
なかでも、取締役の片原は、入社以来8年に亘り、一時もぶれることなく、インターウォーズの信頼を大切にし、自分の仕事に責任を持ち、常に企業と相談者の方に最善を尽くしている。
彼は、クライアントの事を徹底的に、自分の会社のように考える。時には経営者と激論を交わす。本気で考えるので、表面的な話では済まないのである。もともと経理・財務に強い上に、現場の本当の声を聞いているので、本音の話になっていくのだ。なにしろ、クライアントや相談者に関連するリサーチは、入社以来欠かした事が無い。
仲間に入ると決めてくれた時、「インターウォーズで仕事をするなら、日本一のヘッドハンターを目指しますよ。昔から、経営者に興味がありましたから。経営者の考え一つで会社は激変しますし、いい会社は存続して欲しいです。それに、やる気のある人との出逢いは楽しいと思います。結果、日本の経済成長の役に立てたら嬉しいですよね。」と、少し照れながらも語ってくれた。
でも、彼は本気だった。どんな人とも、どんな事があっても、真剣に真摯に向き合ってきた事で、今や多くの経営者の相談相手となり、多くの次期経営者と繋がっている。
インターウォーズも、彼のようなもう一人の経営者がいた事で、人材紹介をコアにしたインキュベーションという事業が確立したと思っている。
インターウォーズが存続し、彼のような本気のインキュベーターが増える事で、創業時に目指した、雇用創造を促し、日本の経済成長に貢献していけると信じている。