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コラム

第85回

「幸せを運ぶ笑いの力」

人は、生きていく上で、いろいろな問題や課題に遭遇し、それぞれに心労を抱えている。ところが、有難いことに、その悩みや苦しみで疲れる心を助けてくれる「笑い」という特別な感情を天から持たせてもらっている。

私も、これまでの波乱に満ちた人生の中、この笑いの力に、どれだけ助けられてきたかわからない。結局、人は自分の考えの中にしか答えは無いのだから、暗い結末を考えればそれなりになってしまうし、明るい気持ちで考えれば明るい未来をつくる事ができる。

つまり、明るい未来をつくるスタートは、笑うことから始まるのだ。

こんな事を改めて思ったのは、いつも、いつのまにか、笑いの渦の中で、楽しい時間を過ごす事ができる社長と経営陣との会食の席だ。

この方とのお付き合いは、10年近くなる。大手飲食チェーンで才覚を発揮して順調にエリートコースを歩んでおられたが、創業者の意思を理解しない新経営陣と意見があわず、成長の可能性を秘めていた飲食事業で新たな挑戦をして頂いた。

入社後は、一定の成長路線を走られていたのだが、徐々に迫ってきた自粛ムードの風を受け、創業者の意思による巨額の投資も大きく影響し、再構築の計画を練らざるを得なくなった。

結果、苦渋の策を講じても、社員を守り抜くために奔走された素晴らしい人物である。
 その最中には、悔しい思いも、悲しい思いも寂しい思いもされたはずである。しかし、彼は、一度も愚痴も弱音も吐くことなく、常に変わらぬ笑顔と優しい語り口で状況を説明しながら、必ず、これからの方針を語ってくれていた。

事態を想像できる事でもあったので、気掛かりではあったのだが、この方がいてくださればなんとかなるという気がしていた。

やはり、自力で山を越えられ、今度こそ、自分で創られた目標のてっぺんを目指して邁進しておられる。当時の本音を聞いてみたら、どんな時も、なにかできるはずという気持ちを持って、ややこしい事を考えることも、むしろ楽しんで過ごしていたと教えてくれた。

自分は、若いときにも、自分ほど仕事をする人間はいないのではないかと真剣に思っていたとも、独特のジェスチャーと、柔らかな関西弁トークで周りを笑わせながら話してくれた。(そうでしょ。その笑いのマジックですよ。苦しいことも辛いことも、ユーモアのセンスで切り返していった結果ですよ。

明るく未来を語り、楽しい事を共有してくれる人といたいのは、だれでも同じではないでしょうか。今、あなたの側で笑っているメンバーも、私達も)と、これは、その話を聞いている時の私の心の声である。

人間に与えられた、幸運を運ぶ武器は笑いだ。辛いときや苦しいときこそ笑ってから、策を考えるのだ。そういえば、「笑う門には福来る!」とは、昔からの教えだった。

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