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コラム

第115回

「恵まれていると思う事」

ベンチャー企業の師と仰がれる野田一夫先生が話された一言にガツンと来た。恵まれていると思って居る人ほど成功しているもんだと。

確かに、これまで自分の思った通りに成長されている経営者に不足をいう方はいなかった。なにかにつけ、感謝の心と、社会的に起きる様々逆境も、それをむしろバネに捉えて成功に結びつけていかれていた。

いいところまでいっても、何故かうまくいかない人は、必ずと言っていいほどなにかと不足が多い。かくいう自分を振り返っても反省するところが多々ある。

それにしても87歳の、日本の歴史をしっかりと見据えてきた重鎮のお話は、日本人であることを改めて思い直すことができた。

戦争という人道を無視した行為に走らなければならない時代を経験せずにすむことに感謝し、平和な世に生きている私達がすべきことを忘れずにいなければと思う。好き放題な事をして環境を破壊していくなどあってはいけないのだ。

有難い事に、最近は、環境問題を解決しようとするベンチャー企業が増えている。物が増えて捨てる人がいるなら、それを資源に変えて環境破壊を減少させることも大事な仕事となるし、樹木が減って環境が破壊されているなら紙の原料を鉱物に変える事が仕事になる。

ものが足りないのではなく、事足りすぎる事を自覚すれば更なる事業の芽を見つける事もできるのだ。確かに日本の社会風土的には、ベンチャー起業家に厳しいかも知れないが、それも踏まえての挑戦をしていくしかない。

人が生きる上で大事な事は、どんな事態に対しても恵まれている事を探す事だ。不幸の数を数えてもいい事は無い。幸せを見つけて元気になって具体的に動く事。そうすると、その日々が重なり、結果幸福な一生を終えるのだと思う。

反面、恵まれすぎている事には、落とし穴があることも忘れてはいけない。リスクを取らなくなるという落とし穴である。

リスクとは、語源として、勇気を持って挑戦することなのだそうだ。変革を恐れて消滅していく事はままあることなのである。恵まれすぎている事に気が付いたら勇気をもって変革していく。事業に限らず、生きる上でも、リスクを取っていかなければ未来は開けないのだ。勇気を持って挑戦するのだ。

87歳の野田先生が綴られた文章の文末には、残りの人生を賭け、僕なりにその革新を試み続けるとあった。感動した。

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