第41回
「You have to figure it out」
過日、日経産業新聞に出島(当社のインキュベーションシステムスペース)の卒業メンバーで、株式会社エンダスの川勝君の立ち上げたネット配信サービス事業が、大きくとりあげられた。
彼は、銀行退職後、ベンチャー企業に参加し、その後独自の起業を目指し、大阪から単身上京した。短期間で、独自のコンセプト、経営計画をまとめ上げ、市場リサーチを手際よく行い会社を立ち上げた。
出島に集うアントレプレナー達は、それぞれに個性が強く印象的な起業家が多い。彼のようにエネルギッシュで、強引だが、正直で愛嬌のあるタイプはそうはいない。
彼と共に過ごした期間の中で、印象に残るキーワードは、「自分で考える」人! とにかく独自の目線で物事を見つめ、「考えた」明解な意志ある意見を、常に持っている。 彼と議論していると、多くの人と意見がぶつかる。しかし、議論が白熱し、エネルギーが発揮されることによってプランが深まってゆく。
そして、コンテンツある企画が、回を重ねるたびにブラッシュアップされ、多くの人を巻き込み完成度を高めてゆく。自己の思いを考え抜いた頑固なまでの企ては、強い力を持った言葉となり、波紋を広げ進化してゆく。彼のような独特の考えをもっているスタイルは、多くのアントレプレナー達に共通する。
独自の考え方を持たなければ、起業は、始まらないのかもしれない。
時々、当社に来社された方々から「よく、こんなに多くの様々なビジネスのインキュベーションができますね」と関心を持たれ、いろいろ具体的な質問をされる。
「インターウォーズは、起業家の皆さんの事業を作るプロセスを助けることであり、経営上の一番いい答えを出す為のサポートをしてゆく会社です」と答えている。
強烈な思いを持った起業家がいて、はじめてインキュベーションプロジェクトはスタートしてゆく。インキュベーターとして、未来の成功を見つめ、可能性に賭ける案件に取り組み、投資してゆく。その際、その起業家という「人」を信頼して決断する。
人を信頼することは、私はプロセスを評価することだと思っている。結果を評価することはたやすいし、誰にでもできる。プロセスを評価し、目利きとして、その人間力を信じ判断し、サポートしてゆくことが私の仕事であると思っている。
起業には、アイディアを形にしてゆくプロデュース(資金、人集めを含め)力、ビジョンを共有化して一丸となったメンバーを顧客との接点にエネルギーを集中させるマネージメント力が不可欠である。
そして、日々の一つひとつの小さな創意工夫の積み重ねが、成果として現れる。未来の成果は、今は見えないが「自分で考えぬいたプロセスから生み出してくる言葉」の中に見えてくる。