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コラム

第43回

「出島」

過去一年間に活躍した、ベンチャー企業経営者を対象にした「2001年・年間優秀企業経営者賞大賞」に、プラスの今泉社長が選ばれた。オフィスに文具を届ける「アスクル」を独立する育て方の起業手段が、選ばれた要因とのこと。

過日、今泉社長が主催している会で、社内インキュベーションについて、お話をさせていただいた。今年3月、当社の出島を卒業し銀座で「おむすびの十石」の社長としてスタートした葉葺君の紹介をすると、「あなたのインキュベーションの実践は、アスクルに通じる」という言葉を頂いた。「アスクル」の立ち上げは、当社の推奨し実践している「出島」によるインキュベーションがモデルとなったケースともいえる。

先日、出島卒業生の葉葺社長が、新しく参加した27才のパートナーと共に当社に訪れた。 「今年の夏は猛暑で30度を超すと、おにぎりの売上げがダウンする。また5円のコストダウンを袋を・・」といった様々な観点から打ち出される彼の言葉は、すっかり経営者のものとなっていた。

彼とは、昨年からの付き合いになる。何故か、運のいい男なのである。よく通常では考えられないような幸運に、恵まれることがある。当社の出島にいた期間は、半年ほどであった。この間出会った多くの人は、彼のファンとなり、「いい情報や案件を伝えて上げたくなってしまう」という声が印象に残っている。

強烈なカリスマを発揮するタイプでなく、一人ひとりの中に内在している資源や情報を、さわやかに引き出す静かな起業家である。経営者には、「生みの親と育ての親」がいるといわれる。そういった意味では、バランスのいい企業内アントレプレナーである。

7月26日、日本マクドナルドが上場し、成長スピードに拍車がかかる勢いだ。藤田社長は、一兆円と豪語しておられるが、個人的には何処に言ってもマックのハンバーガーでは寂しすぎる。

本来日本人は、米の食生活で育ってきた人種である。65円ハンバーガーの1人勝ちに、「おむすびの銀座十石」が一石を投じるファーストフードとして、新たな市場を創生して欲しいと願っている。

創業時、葉葺君は社名を決める際、インターナショナルな名前にこだわった。その理由は、将来海外に進出したいということだった。「たかがおにぎり、されどおにぎり」で夢は大きくシンプルに勝負してゆきたいと。

今日の元気のない日本の企業に一番必要なことは、社内からチャレンジする葉葺君のような起業人を一人でも多く創生することにあると思う。外から、本体にインパクトを与えるエネルギーは、自己変革をできない多くの企業に新たな活力を与える。

このところ大手企業の社内ベンチャーの仕組みに、変化が起こりつつあるが、社内育成方式がほとんどで、実態はなかなかうまくいっていない。大企業から本物のベンチャーが生まれてこない要因は、一言で言えばチャレンジしない風土、仕組みだからである。

だから、そういった起業人が出てこないのである。本来、企業の持っているダイナミックな活力と成長力を取り戻すには、「アタッカー育成」にあり、その仕組みと風土をどう創るかにある。

その手段は、創発となる「場」出島を、創ることにある。起業マインドある元気なアスクルの岩田さんや十石の葉葺君のような人材を、外の、社内の風土と異質なカオスの様々なカテゴリーで集っている人間集団卿に送り出すことから、一歩が始まる。

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