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コラム

第47回

「企業のDNA」

21世紀幕開けの今年もあと一月、皆さんにとってこの一年は如何だっただろうか?

年末に近づくと例年、引越しの挨拶状が増える。拡大か、縮小かによるオフィスの移動である。外部環境が激変している今、環境適応できるかどうかに業績が起因すると思われがちである。

しかし、実態は違っていることが多い。縮小の共通している事項の一つに、15名から50名、そして100名の規模まで順調に成長してきた会社が、2倍~3倍規模になる事業拡大の過程で頓挫する。

売上規模でいうと、3億、そして10億、100億・・のステージで踊り場に入る。様々な要因があるが、主な原因として考えられるのは、内部要因としての社内コミュ二ケーションが寸断することが上げられる。

例えば、10人で始まった時と会社規模が10倍になった場合は、100倍以上のコミュ二ケーションラインが必要となる。事業が拡大し、社員が増えているのに10人のときと同じ組織やマネジメントのままでは考えが伝わらなく、幹部や社員に参画意識が弱まり意志のない集団と化する。

対策として必要なのは、リーダーの理念と判断基準の共有である。組織が大きくなると権限を委譲する必要が出てくるが、実際は権限を行使する基準がバラバラで、ひとつの組織として機能しない場合が多い。

過日、親しくしている友人が、新宿にインディーズに向けたスタジオを創った。オープニングの会場での社長挨拶で「このスタジオは、音響、照明をこだわって創った。しかし、私達は、このことよりも利用者にとって日本一の相談相手となるサービスを目指す」と言い切った。

そして、そのあとに続くメンバーからもそういった決意を込めた言葉を、何度か聞いた。彼は、1,000億の事業を立ち上げた経営者でもあるが、彼の会社は人が育ち、皆が「うちの会社は・・」と同じことを言っている。いつもビジョンと判断基準が明快である。

判断基準づくりで大切なことは、創業者のDNAを確認し、何を最も大切にするかを明確にすることにある。そして、会社のビジョンや目標に向かっての組織づくり、判断基準のコアを明確にすることによって、現場でリーダーが育ってゆく。

新年を迎えるにあたり、会社の判断基準値をリーダーと共に確認し、その浸透を徹底することをお勧めしたい。

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