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コラム

第123回

「豪傑な淑女」

村上水軍の姫を題材にした小説を読んでいて、その起源が気になってしまった。

海賊という金品強奪をする盗賊であるにも関わらず、そこはかとなく格を感じたからだ。すると、天皇家の血を引く一族であったとの説があったので納得がいった。

まさに、その主人公の姫は、現在でいえばスーパーモデルのような美形であり、男勝りのワイルドな生活態度でもあったが、本当の弱者には思いやりのある気高き女性であった。

小説なのでフィクションであるけれど、史実を素に構成されているので、作者も、資料や文献を解読するうちに人格をイメージしたはずだ。

高貴な血を持つ者は、総じて弱者に優しいものなのだ…とか。
誰かを守る気持ちがあるから、慕うものが増えて天上人になっていくのだ…とか。
より強いものとの戦いに必要なものは迷いが無い事だとか…である。

実は、その主人公にやたら気持ちが入った理由がある。その主人公とは容姿や言動が似ているわけではないが、根底に流れる気性を感じたのか、昨年出会ったばかりの、美魔女が頭をよぎったのだ。

モデルのようなスレンダーな体型に大きな瞳を持つ、物凄いオーラを放つ女性である。話題が豊富で愉快で、男勝りの肝の座った言動とそのビジュアルの違いに、いつのまにか周囲の人は、魅了されてしまう。一体この人は何者?と誰もが興味深々となる。

幾度かの出会いの中、なんでも包み隠さない方なので、徐々に解ってきた。やはり、生まれも育ちもセレブだ。しかし、人生波瀾万丈、挫折や苦労はどんな方にもつきものである。

それでも、独自の感性で地位や財産を創り上げ、いかなる問題や苦しみからも逃げずに真正面から戦って生き抜いてこられた。

なによりも、気高い目標を持ち続けて、今も、自分の意志で戦っている。ともかく恰好いいのである。そして優しく、かつ礼儀正しい。電話やメールでのやりとりは簡潔で品が良く、育ちや頭の良さが滲み出る。

その上、彼女は、医者に注意される程体調が悪いときにでも、約束を守るため外出をする。それが、目上、目下、ちょっとした知人に関係ない。約束は約束だからだ。その気丈さと優しさが重なってあの高貴なオーラが出ているのではないかと思う。

彼女が支援して上場した起業家は数多いが、金銭のみならず、芯の通った叱咤激励に心も助けられたであろうことは想像できる。まさに豪傑な淑女なのだ。

この方の半生を小説にしたら、多くの女性の生き抜く力補強に貢献できると思う。特に、この世の理不尽と戦っている気概のある女性にとっては貴重な言葉が満載のはずだ。

私は、遅まきながらの出会いではあったが、彼女のおかげで、怠惰な気持ちになりがちな自分を、それなりに軌道修正できるようになった。空想上の人物も中々素敵だが、本物の女傑に会えた私は幸せ者である。

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