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コラム

第139回

「人生というキャンバス」

久方ぶりにユニークな経営者を見た。そう、なんか、わぁ、見た!という感じ。自称天才。僕は天才だと人に伝えているうちに、自分でも思うようになったという。

勉学に興味が無く、成績といえば、むしろ危ういところであったにもかかわらず、天才らしい独特の感性を武器にして、見事に人々の憧れの大学に合格される。

入学後も、勉強に興味がわかず、学生起業家となり一時世間の注目をあびるが、山あり谷ありで、経営者としての過酷な試練が続き、もう、どん底だ!!という時に、持ち前の天才気質が起死回生をもたらす。

それからは、とんとん拍子に新たなチャンスに遭遇し、これからも世界一を目指されるという。

今の事業で世界一か?との問いに、現在の事業だけではなく、さらなる先を目指したいと、誠に楽しそうに、野望を抱いておられた。

例えて言うと、33回転のレコードを45回転にした時のようなスピード感で話されるので、耳にも老化の波が来ている私なんぞ、聞きとろうと集中せざるを得なかったが、もしかしてこの速度も、人に話を聞かせる戦術なのかと思った程である。

この方の事業の核は、一世を風靡した漫画のキャラクター達のエージェント業である。そう簡単に請け負える業務ではないが、持ち前の運の強さや、元気さや、賢い発想力で周囲を巻き込み推進されているのだろうと推測した。

それにしても、こんなに人一倍元気で活発で自信に満ちた性格の人となる要因が解明されたら、世の中の辛い話が減っていくのは、間違いないのだが。

英国で数百人を対象に行われた遺伝子と環境と性格との関連性を、20数年に及び追跡した調査結果は、凄い労力と努力の結果をこんな短絡的にするのは気が引けるが、でも、あえて一言でいうと、性格形成において、遺伝子と環境の影響はわからない。

つまり、わからないという根拠を確認されたようである。なので、やはり人間は、一人一人絶対に違う。私以外私じゃないの。当たり前だけど、世間はそれをなにかで括ろうとするから無理が出る。

人は、自分の人生を描くキャンバスを持って生まれてくるのである。そこに、自分の意志で描いていく。もし間違ったと思えば描きなおす事もできるが、ただ老いていくにつれ、あらゆる色が欠けてくるかもしれないので、出来るだけ早めに理想に近づけておいた方が、余生を埋める時に楽かもしれない、いや、楽だと思う。

天才の彼は、カラフルで躍動感あふれる人生を描かれている気がした。その流れで私自身のキャンバスに、どんな絵が描けているかイメージしてみたら、ぼやーっとした薄ーい色で、なにが描いてあるかわからなかった…。

せめて、少しは差し色をいれて綺麗に仕上げたい気持ちもあるが、人々の背景としての人生もありだと思う事にした。負け惜しみだけどね。

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