第140回
「生まれてきて良かった」
「生まれてきて良かったぁぁ」とは、なんという幸福度の高い言葉だろうか。とはいえ、こういう感動は、子供の頃だとかなりの頻度であったように記憶している。
なにしろ、人生は苦悩と試練との戦いである。年を重ねるごとに、生きている歓びを噛みしめる余裕等あまりなくなる。子供時代とは、キラキラ感が違う。
逆に、都度の苦悩にぶちあたり、なんで生まれてきたのかと思う事があるかもしれない。そんな時は、偉人の言葉によるところの、『断念による悟りを持って自己を解放する』つまり、これが私だ!それがどうした!と開き直って生きていく事をお勧めする。
しかし、いくら開き直っても、様々な事情で辛い日々を過ごす人もいる。中でも、心優しく、懸命なシングルマザーの方々の貧困問題は、他人事ではなく憂憤やるかたない思いがある。まあ、昔から行政関連の政策は、今一つでしたが。
相変わらず、国の都合と企業の事情の間に、大きな溝がある事で、稼ぐことも育てる事もままならず、貧困率は上がるばかりだという。未来を創る子供を育てていく中で、貧困生活を余儀なくさせられるなどおかしな話だ。
親となれば、片親であろうと貧しかろうと子供が自立するまで養育という絶対責任があるのは承知の上だが、ただ、精いっぱい頑張っても、出来る事には限りがある。
そして、生活レベルの違いから格差が始まってしまう。極端な貧困や格差は、どちら側にいても歪んだ感情を育てる可能性を秘めている。せっかくの人生を拗けた心で過ごして欲しくはないのだ。
親や世間の事情に関係なく、子供は皆同じ、未来を担う宝物である。純粋で、健気で、素直で、無垢で…。あらゆる事に興味を持ち、感動し、健やかに生きている喜びを感じながら育って欲しいと思う。
最近になって、待機児童問題も、少しづつ声が大きくなり初めてきたようだが、解決にはまだまだ、先は長いと思っている。何故なら、子育てしながら満足に働ける職場が少ないからだ。
職場を増やす方法は、働く側もあらゆる努力をすることは勿論だが、働いて頂く側の制度や社内の方針の見直しがなによりも先にある。利益を追求しなければならない企業にとって、人件費に対するこだわりや考え方は理解できる。
でも、時代は違うのだ。ビジネスの仕組み自体が変化している今、労働時間や体制を社会的な目線で考えていくべきであるし、そういう企業を評価し、応援する一人一人の意志が大きな力になるはずだ。
これからの企業は、子育てに対しての理解度や支援の度合いも業績に影響するはずである。
だって、子供は未来なのだ。未来を育てる企業が評価されないはずがないのである。