第144回
「変化は取り込め」
変化を受け入れる人は、生き方が上手な人である。生きていれば、変化に遭遇することは多々ある。ありすぎるくらいある。自分の信条や能力や仕事の事情での環境や状況の変化は、予測や準備が可能だが、天災、人災等、想定外の事がいつ身に降りかかるかわからない。
そんな、もうこれ以上のどん底は無いと思うような時でも、その変化を受け入れて取り込んでしまう人は迅速に、新たに自分なりの快適生活を始められる。そして、生き方上手は、世の中の進化にも、順応されるのが早い。
世の中の進化といえば、たった、30年でITという業界が確立した。その業界が生まれたことで、全ての業界が変革した。
今では、IoTの時代であり、AIが生活の中に普通に入り込んでいる時代である。FAXやポケベルに感動していたのはついこの間だし、初めて買ったPCは冷蔵庫並に大きかったのに。
たった30年で、機能も形も使用目的もあらゆる変化を遂げた。写真を撮る機会は増えても、保存するか、公開するということが、写す、撮るという概念に変化している。写真をアルバムに貼るってどういうこと?という時代だ。
動画配信も自由にできる。あらゆる契約も、お金の流れもネットでできる。たった、30年でこんなに進化というのか、ともかく、大きな変化をしたのだ。なので、いまや、30年後はもとより、数年後のビジネスモデルすらも見当がつかない。
だから、変化に抵抗しても、疲れるだけなのである。変化を受け入れて取り込んで、自分の物にしてしまえばいいのである。その為には、心や頭の壁をぶち壊してからでないと、取り込むことはできない。新しい生活も人生も中々楽しめない。
高齢になってから、仕事を探さなければならなかろうが、親族の介護があろうが、シングルマザーで所得であろうが、打破したければ、こころの壁、思い込み、一般常識を取り払うしかない。
例えば、中高年の転職は、厳しいものがあるが、独自のアピールで採用され、ご活躍されている方のお話はよく聞くようになった。培ったキャリアや人脈という壁を壊したので、新たな世界が開くのである。
また、志半ばで会社を倒産させてしまった社長は、年齢と経歴で敬遠され続けたので、自ら選んだ会社にアルバイトで志願された。瞬く間に並外れた業績を認められて役員に誘われるまでになったが、変化を嫌う方々に受け入れられなかったことに、組織の限界を感じ、結果、独立し、人生最後にやりつくしたいという老人福祉事業を始められた。もう経営者は出来ないという壁を破られたのである。
しかし、その決断の背景には、技術の進歩があった。数名でも効率よく仕事ができるIT技術の活用である。業界の遅れをカバーするのは、その道に明るい自分の天命と思われたようだ。
彼の事業は、諸事情で生活力が無くなった方をはじめ、生活力はあっても孤独な方や、介護する苦悩で家庭内が乱れかけている方や、介護・ケアするお仕事の方々のあらゆるサポートをする総合お助けセンターである。
本来は、行政の方々の仕事かもしれないが、とても、とても、あらゆる規制や組織の壁で上手く回らないのが実情らしい。なによりも日常の雑事が多すぎて対応できないのかもしれない。
何にしても、何かを起こそうとすると、いろいろな壁が出来るが、穴をあける知恵はいくらでも出てくるはずだ。この社長の事業も、あらゆる行政や既成概念の壁を少しでも取り払って、諸問題を緩和するビジネスが成り立つことを、証明して頂きたいと思っている。
現代は、知恵と努力と意思があれば事業はできると、デジタルアートの先駆者の方が話されていた。確かに知恵のビジネスは、まずはPCがあれば始められる。
今、AIが出来ないことを並べたら、生物機能だけだとロボット博士が言っていた。それを怖いととるか、面白いととるか。考え方一つで生き方も変わる。
とにもかくも、抗いようがない時代の進化変化は、取りこむしかない。
この先、これまでの法律で規制されてきた事は、技術の進化に対応できなくなるのは周知の事実なのだから、まずは、時の流れを素直に受け止めて、自分がどうしたら心地よく乗れるかを考えるしかない。
大丈夫、「人間」であれば、善悪の判断ができるのだから。「変化を取り込めばいいじゃないか、人間だもの」なのである。