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コラム

第66回

「“勝ち組”は“価値創造人“」

「1,136万人」昨年なんと、年間に就職、離職、転職(アルバイト、パート含む)をした人の総数である。このうち542万人が、企業間を異動したと、厚生労働省から発表があった。仕事人の10人に1名が、転職したことになる。

「二極化」の時代といわれているが、転職でも「勝ち組」と「負け組」が、はっきり分かれ、転職によって物心ともに成功した人達は、「自分をプロデュースしてゆくにはどういうポジションをとってゆくのか」そして、「自分のリソースは○○で、市場価値は○○だと、そんな自分のステージを生かせる企業を、紹介して欲しい」と、相談してくる人が多い。

一方、企業間においても「勝ち組」「負け組」がはっきりし、勝ち残るのは一位、2位の上位群となり、変化に対応できない能力のない企業は淘汰される。

サバイバルに、拍車がかかってきた。また、成熟した業界では、価格の二極化が進み、「高い商品」と「安い商品」に分かれ、それぞれ売れているが、その中間価格帯のものは売れない。 
 とはいえ、安ければ何でも売れるというのではなく、安いなりの価値がなくてはならない。その逆に、高くても価値さえ認めてくれれば、売れる商品に育っていく。

相変わらずルイ・ヴィトンやグッチ、シャネル、などの海外製のブランド品は右肩上がりで売れている。その一方で、ユニクロの商品なども、安さのわりに品質がいい。

マスコミは業績ダウンといってはいるが、400億の経常利益を上げるほど売れている。要は、高いものは高いなりに、安いものは安いなりに、価値を提供すれば売れる時代だ。

これまで価格は、原価に利益を上乗せして決められていたが、いまや、価値によって価格が決まっている。たとえ原価が500円でも、消費者が300円の価値しかないとみなせば、それ以上の値段では売れない。

個人の年収においても、前年収や現在の生活水準原価から転職時に希望しても、市場価値、そして企業にどれだけの価値を提供できるかによってコミットされる時代となった。  

経営も、個人も、肝心なのは、その価値をどうやって創造するかにある。市場調査ではニーズは発見できても、価値ある商品、能力、スキルは生まれてこない。市場調査からは、過去以上のものは出てこない。

下駄しかない時代に、どんな下駄を履きたいかと調査したところで、桐や黒檀、という答えは返ってきても、エアーシューズという発想は出てこない。あるいは馬車しかない時代に、車を考えつくはずもない。しかし、もしそれを商品化できれば「こういう商品が欲しかった」と消費者は飛びつく。これがウォンツであり、本当の意味で価値と言えるものだ。 

価値を生み出すことが、企業の使命であり、価値を生み出せる人材を時代が求めている。そのためには、普通では見えない変化を見る魚の目(流れをみる目)をもって、その変化を読み取り形にする努力を愚直に継続することである。
「価値を生む人」が、これからのキーワードである。

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