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コラム

第150回

「お店という遊び場がある」

今時は、支払う手段さえ持っていれば、どこでもいつでも、物が買える。公園のベンチでも、電車の中でも、世界中のあらゆる物が好きなように買える。じゃあ、物を売るお店なんてもう必要無いのではないか、とか。

でも、しかし、でも。やっぱり、実店舗のお店はいいのだ。店頭や棚に飾られた商品を物色しているだけでも面白いが、懸命に販売行為を仕掛けてくる店員さんとのやりとりや、探していた物をみつけたり、思いもよらぬ発見等あると尚楽しい。財布と相談して獲得出来たら、更に幸せである。

通販もそれなりに楽しいし、便利ではあるが、定番商品以外の品物は、出来れば避けたい。返品交換OKというやり方も、膨大な量は無理だし、梱包や返送手配も面倒である。

やっぱり、自分で見て触れる実店舗がいい。現物はあらゆる知識をくれる。なので、なにかとお店巡りをする。近所はもちろん、見知らぬ街でも、商店街や商業施設を見つけると立ち寄りたくなる習性がある。

しかし最近は、大型店舗が勢いを増して進出してくださるので、個性満載の個人店舗は絶滅寸前である。歴史ある商業施設や百貨店すらも、大型店舗に変貌してきている。

時代の流れと知りつつも、あきらめきれずに、商業施設の在り方や店舗を求めて、施設や店舗系の方々と情報交換をしている中、パワーセンター内商業施設の方からいい話が聞けた。

※パワーセンターとは、カテゴリキラーと呼ばれる価格破壊業態の店舗が集合した施設の事だ。

1994年、日本初のパワーセンターが新潟で誕生した。当時としては、センセーショナルな出来事で大勢の見物客で賑わっていた。その中のパティオという地元有志の方々で運営されている若者向けの施設の方だ。23年の歳月での様々な変化や、思い出話の中、その方のなにげない言葉に胸が熱くなった。

その施設は、周囲の店舗群の変動に耐えながら、地元の若者の為に出来ることをずっと考えて施設運営をされてきた。そして23年後、その若者の子供たちが若者に成長し、その結果。

「いやあ、うちのお客さんは、親子二代の人が多くてねぇ。」と。

その施設は、周囲の店舗群の変動に耐えながら、地元の若者の為に出来ることをずっと考えて施設運営をされてきた。そして23年後、その若者の子供たちが若者に成長し、その結果。

「いやあ、うちのお客さんは、親子二代の人が多くてねぇ。」と。(もう、それ、私の求める商業施設やん。安心して買い物が出来るという信頼と、いけば楽しい事があるという期待感と、行ってよかったという満足感があればこそのリピートやん!!!)という心の声と、ファミリーでその施設に訪れるお客様方を想像しつつ。

雪深い地域の上に、導線の不備、行政の課題に耐え、カテゴリーキラー店舗に囲まれた場所でのテナント誘致にどれだけのご苦労をされてきたか。また日々の集客の為、地域の安全の為に、今もってたゆまぬ努力をされていることを存じ上げているだけに、どうしようもない喜びが溢れた。

やっぱり、お客様は見ている、感じているのだ。これからも、親子2代といわず、ずっと。地元の方に愛される続ける商業施設を維持して頂きたいと心から思えた。

にしても、時代の流れで様変わりはするかもしれないが、やはり、お店という空間は残って欲しい。

物を見て触って話して、購買心理通りの注意、興味、連想、欲望、比較、確信、決断という段階を経ていくことは、例え、確信、決断の行程がないウインドウショッピングでも楽しいゲームなのだ。

お店は楽しいよ!お店に行って遊びながら、お気に入りのお店を見つけたら、数倍楽しい時間が過ごせますよ。もちろん、お時間のある方に限りますが。

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