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コラム

第97回

「街と企業のインキュベート」

2006年、香港でカウントダウンを行い、新たな年を迎えた。8年前、中国への変換前に訪れた際と比べ、街の景観や人々の自信に満ちた表情の変化に驚きを感じた。

今から百年程前、中国のプレジデント李が、「イギリスに99年間、香港の利用権を渡し、その後、中国に返還する」をコミットした。香港をイギリスの支配下の基で創造しようと、決断したのである。結果、香港は世界を代表する都市に発展した。

当時の世界をリードしているイギリスに、一旦、街を預け、インキュベートしてゆこうと判断した李将軍のあり方は、改めて現在の企業社会においての、企業内起業に通じるものがあると思えた。

過日、プラスのオーナー経営者今泉さんの話を、聞く機会があった。現在、メーカーと流通によるグループ経営によって、売上2,300億、250億を超える経常利益を生み出している。その主な稼ぎ頭は、アスクルである。

アスクルが生まれた背景には、業界のNO1ガリバー企業コクヨが存在しており、コクヨの絶対的な強みは、全国35,000店の代理店によって流通支配をしていることにあった。今泉社長は、ここを真似ようと、全国に販売代理店を設け、追従したが、見事に失敗した。

そのことによって、No.2は、絶対にNo.1の真似をしても敵わないことを知り、そこで、顧客に徹底的に向き合い、満足を提供する為に、「競合と違う山に登ろう」と考えたのである。

そして、そのあり方は、メーカーから、お客様に届く流通経路のダブリをなくし、一週間近くかかり納品されていた商品を、顧客にとって「明日来る」(アスクル)仕組みを創り、徹底して安く、何処の商品も扱うようにした。

他社の真似を無くし、差別化を徹底し、ひたすらお客様の満足を追い求めた結果、今のビジネスモデルが、生まれた。そして、その後、第二のアスクルとも言われるビズネットを始め、次々と企業内起業の創生にチャレンジをしている。

今泉さんの話は、「ニュービジネスとは、誰でもわかる、認知されている商品を、新たなサービスで提供して行くことと捉えている。そして、新規事業会社を具現化するには、事業リーダーを社外に出し、しかるべきコンサルタントを着け、自立させてゆくことにある。」と、明快なオーナーの立場からの、実践に基づいた力強い内容だった。

一時の花火のような輝きでなく、力強く成長発展してゆく「都市」や「企業」を、創造した偉人達には、永い時間軸で理念求めた人間像が見えてくる。

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