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コラム

第126回

「経営者と事業の寿命」

今から5年程前「起業家の栄枯盛衰、今や2年サイクル」と、コラムを書いた際、多くの反響があった。
最近、新興ベンチャー企業の上場が激減し(8月現時点で25社)、上場ベンチャー企業の時価総額数億の企業が続出している。つい数年前には時代の寵児ともてはやされたベンチャーの多くが、2~3年足らずで一転して転落し、立ち往生しているケースが後を絶たない。

企業の栄枯盛衰の周期には、サイクル段階があるといわれる。特に、ここ数年ベンチャー企業の事業サイクルは、著しく速くなってきている。日本も世界の企業も、2周期ごとの栄枯盛衰サイクルが、当たり前のような展開になっている。

その要因の多くは、経営者や役員を始めとする内部からの人的要素や、環境に適応できない体質によって、牙城が崩壊してくることが多い。

経営者には、様々なタイプが存在する。事業を創造し軌道に乗せていく起業家タイプ、事業を育て中興の祖といわれる経営者タイプ、そして、再生を得意とするターンアラウンド経営者である。経営者には旬があり、事業のサイクルに影響を及ぼす。ゴーイングコンサーンしてゆくには、起業した経営者が取るべき合理的選択は二つしかない。

一つは、旬の終わる前に、次を担ってもらうリーダーに会社をバトンタッチすることだ。米国では、こうしたバトンタッチ事業承継によって、企業を存続発展させていく文化ができている。
例えば、世界のファーストフードを代表するマクドナルドは、創業期マクドナルド兄弟が創り上げたモデルを、レイクロックが買収し、世界カンパニーとして育て上げた。

マクドナルド兄弟は、商品にプロダクトサイクルがあるように、会社にも乳児期、青年期といったライフサイクルがあり、創業経営者がすべての成長段階を担うのは難しいということを知り、自分達のゴールを設定していたのである。

一方、すべての経営者が、マクドナルド兄弟の様に”華麗な幕引き”が、図れるわけではない。特に創業者は、個人保証して借金を抱えていたり、適切な後継者がいないなどの理由で、旬が終わろうが終わるまいが、当面、経営者を続けねばならないということが多い。こうした経営者はどうすればいいのだろうか。

それは、経営者としての「旬を伸ばす」ことであり、次世代の経営者を育成するか、外から迎えるかにある。

経営環境が激変を続ける今の時代、旬を維持していくには、強固な経営チームを創り、創業時のDNAを守り、PLAN、DO、SEE、を愚直に繰り返し、事業をイノベーションしていくことだ。

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