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コラム

第138回

「リーダー」

今、未来に向けて、力強いトップリーダーが、各界で求められている。これまで、「リーダーシップとは」について語られることは多かったが、そのミッションの本質について何かということは、あまり聞くことがない。

戦略性、胆力、人望、企画力、推進力、は大切な要素だが、トップリーダーとは、「その時、どういう対応策をとるべきかを決める人だ」と、私は思っている。

企業を率いる組織のリーダーは、現実に適応する為に「企業組織として、誰に何を提供し、何を目指すのか!」「そのために、具体的に何をやるのか」ということを決定し実現できなかったら、戦国時代であれば死を意味する。

どんなに有能であっても、「今、何をすればいいのか」解らないリーダーは、会社を危うくする。リーダーとは、常に時代を洞察し、「そこに存在する人や組織が、何処に導き、何を求めているのか」「今、成果を上げるには、組織のどこに問題があり」「何をソリューションすればいいのか」を決断し、実行する人でなければならない。

「何をすればいいか」を把握した後は、戦略、戦術の優先順位を考え、それを具現化する為に、組織を率いて、愚直にゴールを目指す。

これまでリーダーの要素や資質が、かくあるべしと語られてきたのは、市場が拡大し前年対比や他社との比較対照で評価される時代だったからであり、何をすればいいかが、どこの企業でも同じだったから、同じような議論や書籍が販売され、それで罷り通っていた。

 「私は、前年対比で○○%伸ばし、何としても絶対にこの会社を変えます」的なことを言う経営者の多くは、会社を結果的に潰してしまうケースが多い。具体的に、何処をどう変え、そのために、誰が何をするのか、優先順位はどうなっているのか、結果が出なければどう責任をとるのか、そういった具体的なことを言わず覚悟のないリーダーは、市場から排除される時代を迎えた。

会社を崩してしまうリーダーには、何故か共通する傾向がある。それは、その人の発する言葉に、主語も具体的行動も時間も刻まれてなく、「何としても、頑張る。」的な表現が多いことだ。

過日、ファーストリテイリングの柳井さんにお会いした際、大言壮語を言うことなく、世界を制する目標に向けて、方向を定め具体的な数値と時間を取り入れ、真剣に徹底的に追及していくことを静かに説いて語る言葉に、余韻が残った。

答えのない時代を、先進国の各社は迎えている。そして、今、企業のサイズや名札で自己を表現することはできないことにようやく気付いた方々が、新たな生き方を探されている。
 今、この時こそ、新たな市場を切り開いて行く、強烈な意志を持ったリーダーの出現を願ってやまない。

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