第141回
「勝てば官軍 ~ 藤田田さん勝利の法則」
政権交代による期待と不安が経済界に広がっている。「答えが見いだせないが、何とかしないと」と多くの経営者から聞く。マクドナルドの創業者の(故)藤田田さんから、何度か「勝てば官軍」という言葉を聞いた。
藤田さんとの出会いは、今から25年前になる。発想力・行動力・明快な言語発信力は、社会が混迷している時、いつも明快な自分の信じる考え(プリンシプル)を、次に紹介することをよく語っていた。
ビジネスは勝たなければ、社会から退場させられるのだから存在価値はない。人生もまたしかり。人生を豊かにするためにも、勝つことは生きていく為に不可欠なことであり、勝つには、「宇宙はすべて78対22に分割されている」ことを理解しなければならない。
この原則(法則)を外れたら、金儲けはできない。儲けたくないのなら、何をやってもいい。世の中には、石を刻んで喜んでいる人もいるのだから。でも、儲けたいなら、決して原則をはずれてはいけないと、欧米の名だたる商人達から教えられた。
世の中には「金を貸したい人」が多いか、「金を借りたい人」が多いかといえば、「貸したい人」のほうが断然多い。一般には「借りたい人」の方が多いと思われるようだが、サラリーマンでも、「儲かる」となれば「貸す」という人が圧倒的に多い。
インチキ金融商品や投資にひっかかる人や企業や国が後を絶たないように、事実は逆で、「借りたい人」より「貸したい人」のほうが多い。
銀行が成り立っているのは、言いかえれば多くの預金者から金を借りて一部の人に貸しているからだ。この世の中は「貸したい人」78に対して「借りたい人」22の割合で成り立っている。
一般大衆にくらべて、数こそ少ないが、金持ちが持っている金のほうが圧倒的に多い。
宇宙の大法則に従えば、一般大衆の持っている金を22とすれば金持ちのそれは78だからだ。
現実に金を持っている人を相手にして、ちょっとしたお金持ちなら必ず欲しがって、しかも現実に手の届くものを売ること、それこそが商売の秘訣だ。
上流階級にあこがれる傾向は、とくに女性の方が強いが、男性でも一流好み、デラックス好み、貴族趣味などという人は意外に多い。デフレ時代は、安さだけでなく品質やデザインもおろそかにしない姿勢で、しっかり追及し徹底してゆけば、ブームはしだいに大衆のほうに流れていく。そして、その期間は、ほぼ二年だ。
ますます収益を上げるスピードが速まってきた。「スピード」命の時代であり、決断と実行の連続をいかに早くやるかが勝負の分かれ目だ。
だから、世の中は「時間を節約する」方向に向かっている。銀座でなくても、新宿でなくても、新潟県の山奥にいても様々な決断をし、取引ができる時代になった。スピードは、ビジネスの命なのである。時間の価値を知っている人間こそが事業の成功者たりうるのである。
「勝てば官軍、敗ければ倒産」なのであり、資本主義は極めてシンプルだ。