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コラム

第147回

「これからの日本の活力を生むには」

 21世紀の幕開けの2001年、9年前の元旦のコラムに、以下のようなメッセージを書きました。

「21世紀を迎えた今、20世紀を眺めてみると「国」から「会社」、そして「個人」へと重心が移動しているように見えてくる。その要因として、企業の寿命が確実に短くなっているからと思う。更に今後、グローバル化・国際競争激化・成熟化社会へと向かい、各国の企業の急激なイノベーションと技術変化により、企業組織の寿命はいっそう短くなり・・・昨今は多くの企業が、グローバル化へとシフトすることによって、同一価格でいかなる原材料も手に入れられ、国際競争優位は得られなくなってきている。今後、繁栄する企業間の格差はますます歴然となると思える・・・」

その後、9年の歳月が流れ、現況を迎え、これまでにないパラダイムシフトが起こっています。

この10年間、国際競争力を失った低迷している日本経済にとって、私は、新たな日本の活力を創生する期間が、2000~2005年にあったと思います。

21世紀の幕開けの5年間、インターネットの普及によって知識仕事人が創生され、ベンチャー市場の活況、規制緩和と日本経済の活性化へのイノベーションが起こり、意欲ある人々がベンチャー企業を興し、IPO企業が数多く創生され、大手企業に挑戦する流れや、大手企業においても企業内起業やM&A の勃興が起き、起業のウェーブができました。

この頃、新しい産業や企業を育成しないと日本の未来はないといった気運が高まり、企業内起業家やベンチャーにスポットが当たり注目を浴びていました。

しかし、嫉妬に満ちたマスコミや経済団体の年配経営者達が、ベンチャー企業を批判し、叩き、せっかくの芽を摘んでしまいました。好感を持てない言動や行動をしていたベンチャー経営者や投資家がいたのも事実ですが、残念なことにベンチャー企業がすべて対象にされてしまいました。

その結果、罪人でもないのにマスコミがベンチャー経営者の金銭や恋人関係まで記事にし、ベンチャーの株価は一気に冷え込み、日本の未来の活力を失ってしまったように思います。その後の2006年以降、経済は後退し、日本は貴重な成長のチャンスを自ら潰してしまったのではないでしょうか。

一方、昨今のJALのニュースを始め、国の支援という名のもとに桁外れの税金が使われ、富の創出に目を向けない政権による、国債を発行することによって財源を確保する国の経営は、40兆を切る収入で、92兆も支出するP/L B/S、の現況は、本当に「おかしい」。そして、このことに声を上げない静かな日本国民に危機を感じます。見方によっては、第二のアルゼンチン化に、向かっているという見識者もいます。

私は、創業期から起業家の創生が日本の雇用を生む手段だと考え、尊敬する経営者と共に501社の起業支援を目標に活動しています。我々の活動は小さな試みでしかありませんが、志を持つ企業経営者や、富を手にした方々が、一人でも多くの起業家を支援することによって、世界に通じる企業を育て、一人でも多くの雇用が創造されることを支援して欲しく思います。

そして、その為には、「ノブレス・オブリージュ」(富を得た者の社会貢献)の精神を持ったリーダーと、それを支えるチームが、今一度、21世紀の幕開けを教訓に、社会起業家を創生する流れを一体となって起こすことが、これからの元気な日本社会を築く道の一つだと思っています。

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