第155回
「事業承継」
最近、永年経営をやってこられた経営者から、事業承継の相談をよく受けます。
中小企業白書によると、廃業する企業数は、年間約30万社あるといいます。そして、その中で約7万社が後継者問題を抱え廃業に至っています。
また、成熟マーケットの中で、企業の環境適応力不足や、未来への新規事業開発や、有能な人材の退職や、人材の引き抜き、グローバルIT社会への変化の高まりといった、さまざまな理由が考えられます。
リーダーの能力がこれまで以上に、経営に直接的な影響を与え、これまでのマネージメントでは通じない時代になってきました。こういった現況での事業承継は、次のいずれかの選択があります。
【1】有能な経営人材を、社外から迎え入れ承継する。ただし、自社の理念、風土整合性や条件の合う人材を厳選し、迎え入れないといけない。そして、始めから経営判断する立場ではなく、サポート的なポジションから入ることが好ましい。同時に、組織に他の資本を参加することによって、バランスをとることによってガバナンスが効き、成功の要素となる。
また、事業アライアンスが、考えられる会社に資本参加、または、売却することによって事業を承継してゆくことにある。但し、この場合も経営リーダーは、必要。
【2】イノベーションせず、流れに任せる。この選択肢は、企業の競争力が低下し、やがて倒産してしまうことになることが予測されます。
【3】現有の人材の中から将来性のある経営者を見つけ出し、自社に相応しいリーダーとして育成し、バトンタッチしてゆく。経営推進チームの設定が、肝要。
【4】企業の経営資源を活かし、企業内起業家を発掘し、新たな成長事業と経営者に育て、その後、全社の経営者として承継する。(時が、必要です)
これからの企業経営は、国際的競争が激化する環境の中で、自ら経営判断する経営者を育成してゆくことが、最優先事項です。
効果的な選択肢の例として、セブン&アイ・ホールディングスの創業者の伊藤ファウンダーが、現会長の鈴木さんに、セブンイレブンをインキュベーションし、その後全社の経営を承継した4番の様なケースが、好ましい在り方ですが、なかなか時間がかかり難しいのも事実です。
また、有能なリーダーが、残念なことに退職する理由は、自分自身が成長する機会や、創造性、革新性のある挑戦してゆく仕事が与えられないことにあります。社内でリーダーを育てるには、将来性のある人材に新たなスキルや知識、責任の重い仕事や役割を担う機会を与えることにあります。将来を担う大切な人材には、自己成長と昇進昇格の機会をはっきりと知らせ、機会を与えることが、定着させるファクターになります。
社内でリーダーを育成することこそが、企業にイノベーションと利益をもたらすのは明らかであり、これまでの、単なる後任者計画なるものに頼っている時代では、これからのグローバル社会は乗り切れないといち早く認識し、判断し、企業内起業家精神を創生してゆくことが肝要です。
そして、こういった展開が、時間的に無理なようであれば、信頼するヘッドハンティング会社と経営者をハンティングすることを意思決定することかと思います。