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コラム

第175回

「企業内起業家によるイノベーション」

今から10年前、日本企業の稼ぎ頭は、トヨタ自動車を筆頭に製造業企業が大半でした。そして、現在の稼ぎ頭は、NTTドコモを始め、通信や商社といった非製造業関連企業と、SNSゲーム会社やスタートトゥデイのような新興企業で成り立っています。10年前とは産業地図が様変わりしています。

「これから、日本市場では人口が減少の一途をたどるから、国内では成長できない」と多くの人が言っています。マクロの視点で見ればそうです。しかし、新たなビジネスは、いつの時代もニッチな市場からスタートし、大きなビジネスに育ち、企業をイノベーションしてゆく可能性を秘めています。

過日、最も活況に沸く大久保の「イケメン通り」を訪ねた際、人がすれ違うのも困難な程、賑わっていました。オオクボの地は、多彩な外国人が集う新興国際都市に変貌しています。

中でも、派手なブルー看板が目立つ「韓流百貨店」には、溢れんばかりの買い物客が集い、繁盛していました。2005年の開店当時、路地裏の小さな韓国食材店でしたが、今では飲食店やアウトレットを含め9つの店舗を展開し、年商16億を超えています。今後、京都を始め、全国に展開していく予定とのことです。

企業のライフステージによって、イノベーションへの打ち手はそれぞれです。成熟企業にとって、イノベーションの「きっかけ」は、企業内起業家が、ニッチマーケットから新規事業や新商品の開発を提案することによって興り、企業を変えた多くのケースがあります。

企業内起業家が会社の経営資源を活用し、新規事業を立ち上げてゆく際、ベンチャー企業を立ち上げるより、「企業内」ゆえのたくさんの壁が立ちはだかり、多くの苦労を伴います。それでも、信用・人材・金・人脈・情報といった資源を活かすことによって、競争優位に立つことができます。

閉塞感漂う昨今、企業内起業家が一人でも多く出現し、企業をイノベーションしてゆく時代の到来を期待しています。

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