column

コラム

第178回

「インド」

12億人の民を有し、目覚ましい発展を遂げている混頓の国、インドに行って来ました。
5000年の歴史を誇り、一時期イギリスの植民地におかれ、1947年に独立した歴史を持つインドは、年率8%前後の経済成長が続き、2050年には、世界第2位の経済大国になると予測されています。

初日に訪ねたデリーの空気は、どんより霞み、排気ガスやゴミと石炭の匂いが充満し、道路や交通システムインフラが未整備の中、バイクと車の騒音は、耳が痛くなる程でした。

喧騒と貧困、富裕とIT、多様な宗教、言語、文化がひしめき合う首都デリーの街は、牛や犬が悠然と闊歩し、その隣にインテリジェンスビルが林立する、様々な顔を持つカオスの街でした。

現地で目に留まったのは、中間層と富裕層の大学生の確保に向け、ハーバードビジネススクールを始め、世界の有力な多くの大学が開校していることでした。(因みに、現在アメリカに留学している留学生は、10万人を超えています)

中国に比べて圧倒的に勝っているのは、経営能力に優れた人材だとよく聞きます。有能な人材が数多く欧米に渡り、フォーチュン 500 社に入るアメリカ企業では、副社長クラス以上にインド人がいない会社はほとんどないといわれている程、世界各国で活躍しているとのことです。

昨今は、インドの経済成長に伴い、帰国すれば豊かな暮らしができることがインセンティブとなり、各国で活躍していた有能な人材が、タタ・グループを始めとする財閥企業にU ターン転職する事例が増大しています。

インドは英語圏であり、言葉での優位性を持ち、国民性から製造業の労働者よりも、数学や論理力に優れたプログラマー向きの人材が多く育っています。デジタルグローバル時代に入り、ソフトウェア産業や医療産業、知的産業の重要性が高まり、海外からの外注先として脚光を浴び、現在はインドのGDPの50%を占めるまで成長しています。

インフォシス、サティアム、IICM、タタといったソフトウェア企業の大手は NASDAQ やニューヨーク証券取引所に上場し、インド国内ではストックオプションを得たエンジニアたちが次々と豪邸を購入していると聞きました。

インド市場は生産拠点としてだけではなく、中間層は巨大消費市場としても世界中の企業を魅了し、欧米企業のみならず韓国企業や中国企業までもが進出競争に参戦しています。

今年は『日印友好60周年』の年にあたり、インド首相や多くのインド財界人も来日する予定とのこと。政治不安を始め、様々な課題はありますが、日本企業のインドへの進出機運が高まることを期待したいものです。

コラムを毎月メルマガでご購読