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コラム

第180回

「成長の余地」

当社がスタートした1995年、厳しい経済情勢の中、産学官が一体となってベンチャー企業を創生しようと、中小企業創造法が施行されました。

行政が、ベンチャー企業・中小企業全体の底上げ政策から、「出る杭をもっと伸ばす」方向に転換した節目の年です。

その後、多くのネットベンチャーが生まれ、年間200社近い会社が上場しました。そして、2000年のネットバブルをはさんで、制度改正の多くがこの時期に行われました。残念ながら10年間の時限立法で、2005年に施行中止となり、その後、リーマンショックによる世界金融危機、東日本大震災と原発事故危機に遭遇し、さらに時の政権運営が世界動向を先取りした変革を行うことなく、産業の競争力が失われ、多くの企業が岐路に立っています。

最近、経営者や幹部が頻繁にアジア各国に出かけている話をよく聞きます。中には、シンガポールや香港、オーストラリアに移住している人達も出てきました。リーマン以降、「人材の海外への移動」が始まっています。それぞれの経営者には、考えがあっての決断と行動だと思います。しかし、明日を生きるには、これまで信じられていた不動産・国・円が崩れた日本社会から、海外に移住することなのでしょうか?

失われた20年といわれますが、IBMを始めとするメインコンピューター、パソコン全盛の、相当の知識と資金が起業に必要だった時代から、インターネット、携帯端末の活用により、簡単にアイディアを実現できる時代になりました。

1997年設立の楽天の取扱高が一兆円を超え、株式時価総額一兆円を超えています。
アスクルはヤフーのグループに入り、新たな通販サイト「ヤスクル」を、10月にスタートさせる予定です。

不良債権にケリをつけた日本の三大銀行が、いつの間にか世界の上位10位以内に入っています。ロンドンの投資ファンドが運営する目利きの投資家達が、最も注目している国の一つが、日本だといいます。ユニチャームや、久光製薬を始め、高い技術力を持つ企業群は業績を上げ、この20年間で株価は10倍を超えています。

日本は、少子高齢化に突入、人口が減り市場も縮小していますが、「内なるグローバル化、アジア市場」を見据え、金融国日本の潜在的資産を、ハイスピードで激変している主役企業や企業内起業へ投入していけば、日本の成長シナリオは描けて来るはずです。

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