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コラム

第184回

「渋沢栄一生家にて」

過日、埼玉県深谷にある渋沢栄一の生家を訪ねました。渋沢栄一は日本資本主義の父と称えられ、幕末から昭和の実業家として、日本を代表する500社の企業に関わったといわれています。

深谷は、江戸時代に中山道の宿場町として栄え、江戸と往来する人や物資の中継基地で、情報や文化に触れていた町です。

渋沢栄一の生家は、藍玉と養蚕を家業とする半農半商で、年商は1万両を越える裕福な家で、商売と論語をはじめとする中国古典を学ぶ幼少時代を過ごしたことによって、思想形成の基礎が出来上がったことを知りました。

母屋の木々が、赤城山から吹きつける風雨によって曲がりながら大きく育ち、今でも立派な四つの土蔵の景観が、当時の繁栄を物語っていました。

生家にいた方から、渋沢栄一がよく語っていたという話を伺いました。

政治が変わる時、人生行路の決断をしなければならない時がある。様々な選択があるが、悪習慣を多く持つものは悪人となり、志ある良い習慣を持つものは善人となる。時に善人が悪人に敗けたごとく見えることもあるが、長い間の善悪の差別は確然とつく。志を持って良い習慣を心がけ、信用を身に付け、たとえ事業が小さな微々たるもので、自分の利益は少額でも、人や社会の必要な事業を経営すれば、心は楽しんで仕事ができ、幸せで心豊かな人生を送ることができる。

自分の立場だけにこだわることなく、相方の立場も理解し、広い気持ちを持たねば、事業を世の中に円満に処していくことはできない。処世上の第一要件は、一人ひとりに使命があり、天命を楽しみながら実行しない者には成果はなく、 成果なき者は幸福に生きることはできない。ゆえに、自らの天命を楽しみながら実行することが肝要だ。

自分の立場だけにこだわることなく、相方の立場も理解し、広い気持ちを持たねば、事業を世の中に円満に処していくことはできない。処世上の第一要件は、一人ひとりに使命があり、天命を楽しみながら実行しない者には成果はなく、 成果なき者は幸福に生きることはできない。ゆえに、自らの天命を楽しみながら実行することが肝要だ。

今年も、残すところ一か月となりました。世界も日本も、経済も政治も緊張感の多い一年でしたが、2013年に向け希望を持って、本年を締めくくっていきたいものです。

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