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コラム

第187回

「ホーチミンにて」

2月9日から4日間の日程で、ベトナム・ホーチミンを訪れました。
12年前初めて訪ねた際は、自転車に跨った人々と道脇には牛や鶏が歩き、フランスパンを売る人を目にしました。今では、ニューヨークのようなガラスウォールの高層ビルや、ハイセンスなバイクで颯爽と走る人々の姿がありました。

ホーチミンは社会インフラや地域組織は未整備とはいえ、ITインフラが整備された所では世界の情報をリアルタイムで共有し、先進国と交った新しい風が流れていました。
ホーチミン在住のベンチャー企業のビジネスマンと会った際、旬の上質な情報を持ち、共通目線で交わす会話に、改めてIT革新による情報社会を肌で感じました。

ITが進化した社会は、これまでの概念や価値観を抜本的に変化させ、境目のない大陸が出現し、世界のいたるところで起業家が生まれ新たな産業が勃興しています。

日本経済は今、新政権によって活気が出てきましたが、ブームではない継続的な成長につなげていく為には、一人でも多く未来を切り開く起業家の誕生が不可欠です。

昨年12月20日、バイオベンチャーのユーグレナが東証マザーズに新規上場し、話題になっています。今年1月~3月に上場する企業数は、13社と前年の約2倍となり、業種の裾野も広がっています。
IT革新によって、何処にいても情報を共有でき、安価なクラウドサービスや、デフレが永年続いたことから創業投資コストが劇的に下がり、起業環境は整っています。

多くの企業は、待ったなしのイノベーションが求められていますが、そのカギとなるアプローチには二通りあります。企業内で起業家を発掘し事業を育てていくか、有機野菜のネット販売のオイシックスにリクルートが出資し新たな成長エンジンを創り上げているように、ベンチャー企業への出資や提携によってイノベーションを加速させていく手段です。

 かつて日本が歩んだ昭和の高度成長期の展開ではなく、IT技術を活かし、垣根を越えたオープンスタンスでの共創によって日本を起業社会にしてゆくことが、為替だけに頼らない革新の成長戦略だと思いました。

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