第166回
「生きがいという利益」
人は、生まれた時から死ぬまで、ともかく生きていかないといけない。体に養分を補給するために、なにかしらの行動を起こし、あらゆる弊害やそれなりの困難に立ち向かい、その人なりの寿命がつきるまで喜怒哀楽と共にひたすら生きる。
だとしたら、喜びをより多く経験して生きた方がお得である。生きがいとは、生きていることに喜びを感じるという「生きる上での利益」なのだ、と私は思う。
では、生きがいはどうやって持つのだろうか。
人は他人の為に生きてこその人生という教えも尊いけれど、自分の好きな事の為に生きていたら、他人の為になることもある。
人間は、他人に迷惑や被害をもたらさずに、一生懸命に生きているだけで、必ず誰かの為になっているものなのだ。
ともかく、自分が生きていることに喜びを感じる「何か」に出会えたら、より、お得なのである。何故なら、日々刻々と自分の時間は終わりにしか向かっていかない。
辛いよりも幸せ、苦しいよりも楽しい時間を過ごすべきなのだ。その為には、気になる事に対して具体的に動く事だ。
動けば生きがいにつながる「何か」が見つかる。その後の満足度合いは自分次第だけれど、まずは生きている事に喜びと感謝を持ち、生きる欲求を高めることができる。
生きる欲求といえば、幼子を持つ親は絶対的な責任と愛情による生きがいを持っている。統計でも、子育ては生きがいの多くを占める。しかし、時代に沿った子育て環境が整っていない事で、子育て中の人は仕事との両立が難しい。それよりも、素晴らしいキャリアを持つ女性が、子育て中心の日々にストレスや不満を感じたり、なによりも、生活に支障をきたすシングルマザーの話は辛い。
親にとって、子供は大きな生きがいだが、仕事も出来れば、さらなる幸福につながる。ならば、働く親と同じ施設に子供がいればいいのでは?と考えた方がいらっしゃる。
もともと、子育てに奮闘する奥様を助ける方法はないものかと考えて、周囲の反対を押し切って、親たち向けのカフェを考案し起業されたのだが、その時に、ママさん達の苦悩や高い能力を改めて実感したことで、現在のモデルを構築され、新たに事業を始められた。
別々にするのが大変なのであれば、一緒にいればいいという、素晴らしい考えである。
サラリーマン川柳に「働き方、改革よりも、働く場」というのがあるが、まさしく場を改革してしまったのだ。しかし、その働く場を創るために、どのようにして、収入を確保するか、どうしたら子供の安全や生活時間を守れるか等、行政や企業との取り組み方に始まり、場所の選定や内装のルール等、微に入り細に入り探求され、今なお努力され、あらゆる方法に挑戦されている。
競合や、真似をする企業が増えますよね?との問いに、「いいんです、僕一人では間に合わないですから、沢山増えて欲しいのです」という答えが返ってきた。
こういう人だから、出来たんだなぁとその場にいた一同が納得した。こんな素敵な社長は、苦労はあっても、生きがい利益は沢山持っていらっしゃる。
こういう企業にこそ、国や大手企業が協力して、成長を助けることで、子育て世代の収入UPにつながれば、生きがいの相乗効果で、国の利益もあがるのではないだろうか。
ねえ、そう思いませんか。