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コラム

第197回

「生態形成の時代」

謹賀新年

昨年は、アベノミクス、株高、五輪招致で曙光が射し、「共感」がキーの年となりました。一昨年前、パナソニックが7,650億の赤字、デフレ、円高、株安といった状況から見ると潮目が大きく変わった一年でした。

新たな年を迎え、皆さんどんな夢を抱いているでしょうか?

1995年、アマゾンを立ち上げた起業家ジェフ・ベゾスは、インターネットの黎明期にネット書籍販売店を開設した頃、「私は、世界最大の小売業になりたい」と、夢をよく語っていたといいます。

アマゾンは、本、CD、DVDなどの商品でネット通販ポータルを拡大し、今では、家電、カメラ、パソコン、玩具、化粧品、スポーツ用品、ペット用品、ファッションとあらゆる商品を取り扱う世界有数の小売業になっています。

ジェフ・ベゾスは、成長の打ち手として、世界での利用者にクレジットカードの登録をさせ、商品販売代金の回収帳合システムを拡充しました。
その後、靴のオンライン小売店ザッポスを買収し、ファッション、バッグ、ジュエリーといった感性商品を領域に取り込み、返品自由を可能にする物流を強化する為に、自走式ロボットシステム開発のキバ・システムを650億円で買収しています。
ジェフ・ベゾスが描いた枠組み形成が、アマゾンの成長の大きな原動力になっています。

アマゾンのジェフ・ベゾスが育ったシリコンバレーを中心とした西海岸では、アマゾンだけでなく、アップル、グーグル、ヤフー、マイクロソフトといった世界企業が誕生し、今もなお多くのベンチャー企業が創生されています。

その背景に、シリコンバレーには森のような独自のエコシステムが整っていると考えられています。エコシステムとは、複数の企業が商品開発や事業活動などで、業界の枠を超え広く共存共栄してゆく仕組みの「生態系」のことをいいます。

木や、水や肥料や鳥たちの営みのサイクルで森が育ち、大きくなると、様々な動物や虫が集まり、天然の雨も降って、さらに森が拡大されていきます。水が循環するから生態系が保たれ、森が豊かになります。こういった様々な生態インフラ網による起業や成長環境が整っていることが、企業成長には重要な要素です。

ジェフ・ベゾスは、世界最強の小売業を目指す夢を形にするには、「生態系を形成していく」ことにあると考え、手を打ちました。

日本では、2006年の頃、楽天の三木谷さんが、「楽天経済圏」という言葉を打ち出し、楽天市場、楽天トラベル、楽天ブックス、楽天オークション、楽天イーグルス、楽天ウェディング、楽天銀行、楽天証券、楽天カード、楽天不動産、楽天ソーラー、楽天でんわ…と、個人の人生の中でインターネットに関わることは、すべて取り組んでいこうと企業生態系を描き、グループで形成しています。

リアル世界をネットにそのまま持ち込むのではなく、ネット特性を生かした生態系を形成することで競争優位に立ち、圧倒的勝者になる時代の幕開けを迎えました。

皆さんのこの一年が、健康で輝きに満ちた一年でありますように。
本年もどうぞ宜しくお願いします。

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