第213回
「世界で戦う起業家」
当社のエントランスに、テラモーターズの赤い電動バイクが置いてあります。
今から5年前、ゴールデンウィークの最中、「アップルを越える世界ベンチャーを立ち上げたい」と、異色のスケールの起業家の徳重さんが訪ねて来ました。以来、「日本発のモノ創りメガベンチャーを創出する」という思いに共鳴し、創業時から株主として応援しています。
テラモーターズは2010年4月、渋谷の家賃6万の小さな部屋に梁山泊の様に人が集い、電動バイクメーカーとしてスタートしました。
その後、国内で3,000台売り上げ、「世界で勝つ」ことを目指し、ハイスピードでベトナム、フィリピン、インドに支社を置き展開しています。
2013年の2月、ベトナムでテラモーターズの海外駐在員第一号の林さんとお会いしました。林さんは圧倒的な当事者意識を持ったロジックとパッションの企業内起業家でした。その後、ベトナムでは新工場ができ、ショウルームもオープンし、各小売店にテラモーターズブランドの電動バイクが並んでいます。
アジアは、世界のバイク需要の80%を占める大きな市場です。
昨今、産業構造の大きな転換期の中で、EVへの関心が高まり、「メイドインジャパン」は、強い信用があります。 日本発メガベンチャーとして、先兵となって圧倒的な競争優位で市場を取り込み、インパクトを与えてくれると期待しています。
明治維新以降、日本は世界に通じる起業家達によって、類の無いスケールと速さで新たな時代を切り拓き、豊かな経済国を築きました。この頃は、日本全体が起業家精神溢れる、ホンダやソニーに代表されるベンチャー企業の勃興の時代だったと言えます。
日本は今、幕末、太平洋戦争に次ぐ、第3の敗戦といわれています。最近、日本のベンチャー企業は元気です。その背景には、起業で成功した経営者が出資する側になり、次の起業家を育てるエンジェル投資マネーの経済圏が広がってきていることが挙げられます。
13年度のベンチャー投資額が1818億円と12年度比8割増えています。
米国では、四半期で1兆円規模の資金が投じられていることから比べ、まだ小さな規模ですが、90年代のシリコンバレーの景色に日本も似てきた気がします。
過日、テラモーターズ代表の徳重さんとお会いした時、「やっとソニーの盛田みたいな日本人がきたな」と、インドで言われたと聞きました。
世界に打って出る21世紀生まれのメガベンチャー企業が、かつての日本を活気づけた様に、一社でも多く出現する機会を共創してゆきたいと思います。