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コラム

第215回

「挑戦者たちの社会を」

最近、銀座中央通りのラオックス本店前には、朝10時頃から夜の9時過ぎまで観光バスがずらりと並び、中国人で溢れ凄いことになっています。

三越伊勢丹社長の大西さんから、訪日観光客が急増しており、銀座店は訪日観光客の購買が売り上げ全体の3割を超えたと伺いました。2020年に向け、ますます拡大していくことが予想されます。

過日、銀座の寿司屋で、中国人と不動産屋の日本人が隣のカウンターに居合わせました。その二人は「今日見たマンション、安くていいね。気に入った。買いたい。お金はいつ振込めばいい?日本は何処で何を食べても安くて美味しい。皆、笑顔で親切。日本はいいね!」「契約書、明日ホテルで交わしましょう」と、トロをバクバク食べながら、周りを憚ることなく大きな声で話していました。

観光立国を目指す日本にとって、訪日観光客が消費してくれるのはありがたいことです。
しかし、中国人の富裕層が日本の人気マンションを投資目的で買うので、住人がおらず、夜、明かりがつかないマンションが増えています。

中国では不動産投資が行き過ぎ、建設がストップし、完成しても入居することなくゴーストタウン化している「グイチャン=破棄された街」という言葉が、頻繁に交わされていると聞きます。
中国人の爆投資で、マンション価格が上がるのではと心配ですが、阻止するには、投資目的ではない日本の生活者の購買力を上げることが必要です。

これまで、次代を担う日本の若者たちは、目の前にビッグチャンスが訪れていても、チャレンジしない、先進国でも起業率は最も低い、このまま野心や志を持たない若者が増大すると、アジアの野望を持つ起業家達に、マーケットシェアーを奪われ、立ち上がれなくなるといわれてきました。

最近、私の周りの若いベンチャー企業は、勢いが増し元気です。上場した先輩経営者が、若い起業家達にエンジェル投資する流れが広がってきています。

2013年は、2000億近くのマネーが1,000社に投資され、2012年度に比べ投資金額は77.2%増加し、投資先数では21.4%の増加となっています。1社当りの投資金額も1億8200万円へと前年度に比べ45.6%増えています。

上場企業も77社となり、5年連続で増大しています。
起業立国を目指す日本に、曙光が見えてきたような気がします。

産業構造が変化し、事業機会の窓が大きく開いている今、オールジャパンの力を結集し、一人でも多くの若者達が「大志」を抱き挑戦する社会を実現してゆきたいものです。

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