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コラム

第230回

「韮崎大村美術館」

過日、山梨県韮崎市の八ヶ岳を望む丘に建つ韮崎大村美術館を訪ねました。

この美術館は、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生が、故郷に私費5億円を投じて建設し、市に寄贈し館長を務めている女性芸術家だけの作品を集めた美術館です。

大村先生は、45年に渡り微生物が生む天然有機化合物を研究し、これまで480種を超える新規化合物を発見し、26件もの医薬品の商品化に成功しています。中でも、感染症などの予防・撲滅・創薬「イベルメクチン」を米国の製薬メーカーのメルク社と開発し、アフリカおよび中南米などで感染の危機にさらされていた2億人を失明から救い人々の生命に多大な貢献をされた偉人です。

また、企業との連携による製品開発の事例は、世界のヘルスR&Dの中で最も成功した産官学連携TLOとして、高く評価されています。

「イベルメクチン」の商品化にあたり、大村先生と北里研究所とメルク社による特許のライセンス契約交渉で、メルク社から『オオムラが発見した放線菌の菌株を3億円で買いたい』と提案を受けた際、(北里研究所の理事会は提案を受けようとしたようですが)大村先生はこれを拒否し、継続ライセンス契約に至り、メルク社側から北里側に支払われた金額は、現在200億円を超えたとのことです。

また、大村先生は科学の研究の枠だけにとどまることなく、北里研究所の経営再建や、女子美術大学への支援や、韮崎大村美術館の建設、北里研究所メディカルセンター病院の建設、学校法人開智学園の運営などの幅広い功績を上げている異色な経営者でもあります。

韮崎大村美術館には、女子美術大学の名誉理事長も務める大村先生が生涯収集した作品が、館内に数多く展示されています。女子学生をはじめとした芸術家の作品は個性的で型に嵌まらず躍動感があり、大村先生の感性の世界観が広がり、芸術の世界でも「伯楽」を感じました。

韮崎大村美術館には、女子美術大学の名誉理事長も務める大村先生が生涯収集した作品が、館内に数多く展示されています。女子学生をはじめとした芸術家の作品は個性的で型に嵌まらず躍動感があり、大村先生の感性の世界観が広がり、芸術の世界でも「伯楽」を感じました。

大村智先生の言葉
「科学と芸術はともに《創造》と《想像》の両方が不可欠であり、その融合が人類の未来を好ましい方向へ導く」

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