column

コラム

第252回

「ホキ美術館」

7月15日の日曜、千葉市のあすみが丘東にある「昭和の森公園」を臨むホキ美術館を訪ねました。 ホキ美術館は、ホギメディカルの創業者保木将夫さんが創設しました。この美術館は保木さんが収集した日本の写実絵画を主として専門に展示している、世界初の稀な美術館です。

保木さんとは、リクルート時代に仕事で出会いました。手術を行う医師や看護師が院内感染する医療事情を覆したいという思いで事業に取り組んだ、研究開発型企業ホギメディカルの創業者です。日本になかった医療用の滅菌商品を開発し、トップメーカーとして一部に上場し、決算発表が日本一早いことでも有名な企業を創り上げました。

保木さんは、「森本草介」氏の絵を海外で買ったことから、写実絵画のみ収集するようになり、これまで450点を超える写実絵画作品をコレクションしています。頑なに研究を貫いてきた経営者なので、写実的な表現をする作家の描く絵画に魅了され、写実絵画のみを集めるようになったのかもしれません。

美術館は2010年に開館し、保木さんが収集した450点の中から選ばれた150点程の作品が展示され、回廊型のギャラリーは、一対一で絵画とゆっくり向き合えるように設計されています。
写真は、一時を切り取りますが、絵画は画家が何年もの時間をかけて技術を埋め込み、理想を表現します。誰もが気軽にスマホで撮影できる今の社会だからこそ、研ぎ澄まされた人の技術力と創造力を体感できる写実絵画に多くの人が魅了されるのだろうと思います。

館長になってからは、「絵は景気のいい時は抽象画が流行り、不況になってくると写実画が描かれる。私は、景気に左右されることなく写実画の殿堂として、ホキ美術館を後世に残していきたい。写実の芽をさらに大きく発展させていくために、「ホキ美術館大賞」を設け、写実画家を応援していきたい」と語っています。 

保木さんは、「自分の心に響く事、誰もやろうとしないこと、そして人のためになること」に拘り続け、「どこにもない事業」と「どこにもない美術館」を、日本に創ってくれました。感謝!!

コラムを毎月メルマガでご購読