第206回
「運の話」
「人は生まれた時に運袋を持って生まれてくる」と。
すこぶる運の強そうな方に聞いてからというもの、運というのは容量が決まっているのだろうか?とか、良い運を掴むのはどうすればいいのか?等、努力もしないで幸福だけを求める罰当たりな考えを持ちつつ、そもそも運とはなんだろうと時折考えてはいたのですが、著名な人の言葉にめぐり逢いこれまでのもやもやがすっきりしました。
『運とは性格』かの哲学者アリストテレスさんの名言の一つです。何故すっきりしたかというと、知っている限りの人物を思い浮かべ、強運と思える人と運に見放されてるが如く何故か上手くいかずに不運が続く人の違いを見つけたからです。強運というか、苦労はしても思いを遂げていく方は、性格が素晴らしいのです。
素晴らしい性格とは、心爽やかで思いやりがあって、賢くて、正義感に溢れ、噓をつかず、常に努力を怠らず、僻むことなく、何事にも恐れず、無駄に怒らず、というような感涙してひれ伏したくなるような性格であります。
近頃並外れた才能を発揮している各界の若きスターを見ていてもお分かりだと思いますが努力の賜物による勝利後インタビューの対応にも輝く性格が垣間見えます。つまりは当たり前のように、大昔から教訓とされてきた行動や言動と運の強弱は連動しているのです。
残念ながら近年増え続ける自然災害や理不尽な戦いに巻き込まれたりするのは宿命として受け止めるしかありませんが、自己判断ができる事柄は個々人の性格で違いが出ると解ったのです。
そんな考えを確信させてくれる一人の方は、新鮮な食品を届ける事をモットーにしている企業のCEOです。今年の大雪で配送が遅れているお詫びの手紙がSNSで高評価シェアされていました。その誠意ある文面と文字を見て20年程前の青年の姿が目に浮かび、起業したての繁忙時のトラブルも社員のモチベーションを維持されながら対処されていた事を思い出しました。悪天候で約束が守れない事に歯がゆい思いをしながら、せめてお詫びと思ったのかもしれません。こういう人だから今があるのです。
天候だけでなく事業拡大により思いもよらぬアクシデントにも遭遇されているようですが自らが陣頭指揮を取り報道関係にも真摯な対応をしている様子を知りました。この大きな課題も更なる成長の糧にされていくと思っています。
何事にも逃げずに立ち向かう、素直に謝る、一生懸命頑張る。こういう方に味方が付かないはずがありません。やはり、素晴らしい人生を歩みたければ素晴らしい人格を持つ事が大切なのです。人生は、いい事ばかりではありません。むしろ辛く苦しい事の方が多いものです。
でも、小さないい事は毎日それなりにあるはずです。その小さないい事に感謝し、自分ができる事を精一杯実行されていれば、気が付いたら運の良い人になっていると思います。
『運は性格』つまり運の良し悪しは自分自身がつくる。運袋の大小も自分次第なのですね。素敵な運袋を持ちたいものです。