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コラム

第215回

「スマートに酔いましょう」

地球が灼熱地獄になるとか、飢餓が迫ってるとかに対して抗いようのない様々な裏付けを突きつけられても、今すぐ身近で出来ることは、レジ袋や紙袋代を別途払わされたり、諸税の引き上げ策に泣き寝入りし、ポイント集めに力を使い。ディスカウントやリサイクル品をフル活用し、自家栽培で菜食を心がけ、容赦なく上がる光熱費におびえながら暗い室内で厚着をして、火鉢や湯たんぽで過ごすとか、多分夏は、水風呂とうちわで熱中症対策だろうか。いずれにしろ、いろいろな知恵を絞って耐え忍びながら国の政策に抵抗できる唯一平等の権利である選挙で細やかに意思を表明する事くらいしかない。

とはいえ、どんなに暗い情報が流れていても、お酒を飲む時くらいは楽しく飲みたい。 楽しむというのは、自由の意味があるというが、アルコールのいいところはその解放感にある。普段真面目な人も、やたら面白い人だと発見できたり、仕事関係なら顧客の本音を掴む事も多々ある。神代の昔から、酒を飲んで大騒ぎするのは人間の楽しみの一つなのだから、そのDNAは受け継がれているはずだ。

なのでアルコールに弱い方や断酒中の方にとって飲みの場は居心地のいい環境では無いのだろうと思っていたら、最近はノンアル、ローアルの需要が高まっているというのをサントリーが調査結果を出したからか、各酒販メーカーさんはこぞってノンアル、ローアルに力を入れだしていた。アサヒビールもローアルとノンアル中心のバーを電通と共同で開発し出店している。その名称こそがスマートドリンキング略してスマドリという。なんだか、格好いい。お酒を飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる場所というコンセプトだという。

それにしても近頃は何につけても「スマート○○」が目につく。スマートフォン、スマートウォッチ、スマート家電、スマートホーム、スマートシティと、スマートとつけば格好良く、便利、安心、安全という気がしてしまう。スマートドリンキングもしかり、確かにアルコール率が控えめであれば、悪酔いすることも少ないだろうし、そもそもノンアルであれば気分はあがるが酔うことはない。なるほど、意識高い系の人々が増えている今の時代に合っている。

これからは、居酒屋での大騒ぎの飲み会も、おしゃれなバーでも、オンライン飲み会でも、近所のスナックでも、雰囲気のあるクラブでも、芸妓さんと会える料亭でも、アウトドアのBBQパーティーでも、ノンアル、ローアルドリンクは、誰でも楽しめる場に必要なスマートドリンクという存在になるようだ。なんなら、美形アンドロイドがいる酒場で飲めたら、完璧なスマートドリンキングバーになる気もしている。

なにしろAIの進歩は著しい。シンギュラリティは後3年でくるとも言われだしたが、ChatGPTやBard等は既に相談相手にもなるのだから、擬態の完成もあながち遠い未来では無いと思っている。ただ、世界危機を救う為のAI活用を祈るばかりだが。

余談はさておき、これからは、泥酔したり、酔って騒ぐなんて事は愚の骨頂なのだから、上手に飲んで楽しんでスマートに酔う事を心がけようと思っている。できるだけスマートに。

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